日刊ニュース

2014.12.04 のニュース

自分だけ増販はあり得ない

 原油価格の急落が止まらない。OPEC総会で減産合意がなされなかったことで一気に加速した。この3年半、95㌦と115㌦の間で緩やかに推移してきた国内指標のドバイ原油は、5ヵ月で一気に40㌦以上下落し70㌦を割った。70㌦割れは2010年7月以来およそ4年半ぶりのことだ。一方の為替TTSも、すでに120円台突入目前のところまで来ている。この1年半、100円前後の小幅変動で推移しきたた為替相場は、直近3ヵ月で一気に15円も円安に振れた。
 原油急落も急速な円安も、契機となる大きな力の一押しが最初にあり、その後は雪ダルマ式に動きが加速した。そして、どちらも我々石油業界にはとても関係の深いファクターでありながら、我々の力ではどうにもならないという点で共通している。
 そしてもう1つ、我々の力ではどうにもならないのがガソリン需要の落ち込みだ。特に、ここ半年は激減と言えるレベルまで落ち込んでいる。定着してしまった構造的な需要減に加え、4月からの消費増税、相次ぐ悪天候、夏場までの価格高騰など、特殊要因が二重三重に財布の紐をきつく締め上げ、需要をダイレクトに打ちのめした結果だ。年末商戦に向けてガソリン価格の値下がりも予想されるが、これで需要が一気に上向くとはとても考えられない。
 ガソリン販売量は、現場の経営努力だけで上乗せするには自ずと限界がある。構造的な需要減少の中で、周囲のSSを凌駕するレベルまで増販することはもともと不可能と考えるべきだし、増して、今年のように特殊要因が複数重なる状況下では、よほど無理をしない限り、そもそも増販そのものが非現実的といわざるを得ない。
 ここ半年の需要の落ち込みは、現場の経営努力でなんとかなるレベルでは到底ない。そのことをまずしっかりと認識したい。商売を営んでいる以上マイナスの目標は立て難いし、「経営努力で自分のSSだけはなんとか」などと考えがちだが、考えることは皆同じ。結果、無理をして増販に走っても、増販は叶わず、無理をしたツケだけがSSの経営を確実に痛めつけることになる。
 減販に苦しんでいるのは自分のSSだけではない。そのことをしっかりと念頭において、消耗戦を仕掛けるのではなく、いまは足元を安定させることに注力したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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