日刊ニュース

2014.12.04 のニュース

灯油、冷え込み遅れ減販が心配 SSは人手不足で配達が困難に

 12月となり灯油シーズンに入ったが、関東地区には本格的な寒波が到来せず、荷動きは鈍い。上期に販売は前年比14%減、10月も4.6%減、11月も6%程度減が見込まれている。
 寒冷地では、シーズンに入ったが、現在もガス・電気への燃料転換が進んでいる。寒冷地のマンションなどもガス、電気へ転換しており、減少に歯止めがかからない。灯油販売は天候次第という要因はあるが、SSでの取り扱いも減少している。さらにSSでは人手不足が深刻化しており、灯油配達が難しくなっている。
 SS経営は、冬場の灯油販売の増益で一息つくところであるが、需要期に入るが、今後も減販が見込まれ厳しい状況となりそうである。東日本大震災で灯油の暖房が評価され、キャンペーンなど展開、灯油の復権を期待しているが、ユーザーの理解を得ることは難しいようである。
 灯油ストーブの利点は、点火後、直ちに暖かくなる、熱効率も高く寒冷地では灯油暖房が圧倒的に有利である、と評価されているが、マイナス面では、①重くて給油に不便である、②配達による供給が難しくなってきた、③販売価格が2000円(18リットル)以上で高値となり割高感が出てきた、④価格が不安定である、などの点が指摘されている。
 これらのマイナス面では、灯油ストーブの開発の遅れ、などの指摘もあるが、需要が急速に減少したことで後手に回ったことになる。販売価格については、原油価格の変動に大きく影響するため、市場原理に委ねることになるため打つ手がない。原油価格が安定せず、乱高下しているためユーザーには不安感を与えることになった。最近の例をみても、原油価格は夏場に100ドル/バーレル台まで高騰したが、足元は70ドル割れまで急落しており、価格変動が激しく家計の支出にも大きく影響するため主婦が高値感を強く持つことになった。
 現在2000円相場となっており、その都度、現金で支払うことになるが、ガス、電気は料金が値上がりしても自動引き落としであるため、高値感の抵抗がなく支払っていることになる。
 そのため寒冷地でも、新設の住宅、マンションはオール電化に侵食されるケースも散見されてきた。結果的には、利便性でも不利となり高値であることから、灯油離れが進むことになる。
 さらに、SSでの人手不足から配達が難しくなってきた。寒冷地ではSSの過疎化が問題となっており、安定供給に支障が生じている。
 SSの過疎化はガソリンの供給難が問題となるが、車であるため、遠距離であっても、そのSSまで車で行って給油が可能である。しかし、家庭用灯油への供給となると、配達が主流となる。とくに高齢者となるとSSで購入することが困難となるため、配達がされないと生活が出来なくなる。その結果、過疎化問題となるが、SSが存在しても人手不足で配達が出来ないケースが増加している。
 SSの人手不足はバブル時代もあったが、最近は、東日本大震災後の復興事業を機に人手不足が深刻化しており、その影響がSSにもおよんでいる。SSも効率化、低マージンの経営を追求しており、アルバイト、パートが多くなっているのが実態である。安定した人材の確保が求められるが、そのためには、適正マージンの確保が必要となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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