日刊ニュース

2014.12.09 のニュース

灯油在庫の積み増しは裏目 原油急落で仕入、掛売の対応に苦慮

 原油価格の急落で石油製品市況は下落したため、その結果、高値在庫を持つことになり、卸業者は先物、業転を扱うケースでは、損失が発生するなど混迷している。値下がりが急であり灯油の大手専門業者などは、早目に売り出て損失を少なくして逃げ切るのか、在庫を持ちこたえて値上がりを待つのかは難しい判断となる。灯油の先物は夏場は80円/リットルであったが、足元は67~8円となっており、夏場の在庫積み増しが裏目に出ている。
 仕入段階でも仕切価格の値下がりが見込まれれば、買い控えとなる。しかし、大半が計画配送となっているため元売ペースで入荷となる。そのため販売業者がローリーを持ち込み蔵取りするケースも増えている。同じことは、ユーザーにも言えることで週決めとなると、販売価格は、大きく変わるのと、月決めの売掛となると販売した日によって納入価格が違うため調整することになり値決め交渉も必要となるなど手間もかかる。
 とくに灯油は市況下落で、足元は高値在庫を持っていることになるため、売りに出れば損失が出る。値上がりを待つと、さらに損失が増えることになりかねず、難しい状況になっている。本来ならば、夏場が安く、ここで在庫を積み増し、冬場の値上がりを待って売れば、ここで利益が確保される。在庫を持つため金利、タンクの使用料が加算されるが、通常はシーズン入りで利益がみこまれる。その流れに乗って灯油シーズンに入り、ピーク時に一段値上がるが、終了時には値下がりするため、ここをうまく売り切ってシーズンを終えるのが例年のパターンである。
 だが、今年は結果的には、夏場が高く、冬場が安値という逆転する状況となった。今後、大寒疲が到来して増販となり、利益が確保できることとなればよいが、足元の原油価格をみると、急騰するとの見通しを期待するのは難しい。勿論、現在の急落も予想した人はいないため、今後は何が起きるかは分らないが、今が底値とみるか、さらに一段下落するかは、相場を見るしか方策はない。
 原油価格はOPEC総会で、減産が見送りとなったのを機に、一段と下落したが、夏場から下落傾向をみせていたものである。
 100ドル相場が続いたが、その要因は①中東、アフリカでの地政学的リスクが常に予想されていた、②中国、インドの経済発展が見込まれたなどから高値で推移した。しかし、ここにきて地政学的リスクが緩和、中国などの経済成長が鈍化してきた、アメリカではシェールオイル・ガスの開発が進み、アメリカが輸出国に変わるなど需給が緩和してきた、など情勢が大きく変化してきため値下がりとなった。
 原油価格はドバイで7月で110ドル/バーレルであったものが70ドル割れと40ドルの下落となっている。平均値でみても8月が102ドル、9月が96ドル、10月が87ドル、11月が76ドルと下落、足元は70ドルを割って67ドル程度で推移している。
 過去においては08年のリーマンショックの直前の7月には145ドル(WTI)となり、その年の年末には30ドルとなり100ドル以上の急落を経験している。急騰から急落と激変したため、チャートもスカイツリー型となった。今回も急落したが、前回に比べると緩やかである。山が高いと谷が深いが、いずれは反転するが、その時期は分らない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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