2014.12.16 のニュース
消費者の負担軽減のために
原油価格の下落が続いている。6月に111・24㌦まで上昇した中東産原油がその後下落し続け、現在、65㌦前後になっている。一気に4割も安くなったことになる。新聞やテレビでこの原油急落が報道され、「国内のガソリンなどの製品価格も安くなるだろう」との観測が流れる。確かに国内のガソリン価格は徐々に下落しているのだが、一部マスコミなどからは、原油価格の値下がり幅に比べて、国内のガソリンの値下がり幅は小さいのではないかとの指摘が出ている。
石油情報センターの調査によると、ガソリンの全国平均店頭価格は7月14日調査時点で169・9円になったのをピークに、その後、原油価格の下落に合わせて21週間連続で値下がりし、現時点では155・3円である。最高値時から9%ほど値下がりをしたことになる。
原油が4割も安くなったのに、ガソリン価格の値下がり幅は1割にも満たないということであるから消費者が疑問を感じるのは当然であろう。しかし、これにはきちんとした理由があることを、我々石油業界は外に向けて訴えなければならない。
その理由の一つが急速に進んだ円安である。原油価格が今年最高値になった6月第3週の為替相場は1㌦103円。現時点で122円であるから19円もの円安である。この急激な円安がドル建て決済の原油の下落効果を相当の部分相殺している。
しかし、それ以上に原油下落が製品価格に反映しない要因が、ガソリンに課せられる税金の重さである。1㍑当たりのガソリン税は、本則税率の28・7円に暫定的に上乗せされている25・1円を加えて53・8円である。それに2・04円の石油石炭税と現在、増税途上の地球温暖化対策税の0・5円。その税金に原油価格や精製・販売コストを反映した製品本体価格を合わせたネットの価格に消費税8%が課せられる。現在の小売価格の155円で見ると、消費税額は11・5円であるから、1㍑当たりの総税額は67円を超えているのである。ガソリン価格の4割が税金だ。
この税額が岩盤となっているため原油の値下がりが小売価格に反映しにくくなっているのであるから、その岩盤を崩すしか消費者の負担を減らす方策はない。特にガソリン税の暫定上乗せ部分の25・1円は、その課税の理由がなくなっている。まずはその上乗せ分を廃止するのが、消費者の負担軽減の決め手である。