2014.12.16 のニュース
原油続落、見通しは不透明で苦慮 市況下落で需要回復の期待強まる
原油価格は、ついに60ドルを割った。WTIは11日には59.05ドル/バーレルで前日に比べ0.99ドルの値下がりとなった。値下がりはドバイ、ブレントなどにも連動しそうである。原油価格の値下がりは、消費国にとっては、石油製品の価格が値下がり、物価を押し下げるため歓迎されている。
国内でもガソリン、灯油などの石油製品が値下がりしており、需要が回復することが期待されている。ガソリン価格も、石油情報センター調査(8日)では155円/リットルとなり、前週比で約2円の値下がりで21週連続の値下がりとなっている。7月では170円であるため、通算で15円の値下がりとなっている。街道沿いの実勢市況は140円相場となっているため安値20円以上の値下がりとなる。
ガソリンは上期販売は5.5%の大幅減となった。4月の消費税の増税前に3月に仮需要が発生したため、その反動で4月が大幅な減販、その後の夏場には台風の到来、天候不順が影響した。その後の減販が続いているが、ガソリンの下落で、需要回復が期待できそうである。だが、安値となっても減販は続くが、減少幅が縮小することになる。前年比での増販は望めず、減販が続くため適正マージンの確保が重要となる。
軽油も135円で前週に比べて2円の値下がり、21週連続の値下がりで、通算で約12円の値下がりとなった。上期の懇談0.6%の微減となり、ほぼ横ばいで推移している。復興需要もあり、微増も見込まれている。
灯油の店頭価格は100円(18リットルで1800円)となり、1.6円の値下がりとなった。通算では8円の値下がりとなっている。今までは不需要期であるため、荷動きもなく市況は安定していたが、これから本格的な需要期に入るため市況動向が注目される。今のところ100円相場となっており、今後も値下がりするが、大きく崩れることはないようである。
灯油販売は、電力、ガスヘの燃料転換が進んでおり、今後も減販が続くが、天候次第で増販も見込まれる。ただ、以前のように灯油が目玉商品として安値で販売するケースは減少しており、減販を適正マージンで確保する方向は出てきた。
原油価格(ドバイ)の推移をみると6月が110ドル、7月が106ドル、8月が102ドルと下落、以後、9月が96ドル、10月が86ドル、11月が76ドル、12月上旬が66ドルで推移、毎月10ドルの値下がりとなっている。12月では60ドル相場となっているが、今後はどこまで値下がりするか予測が難しい状況にある。
原油急落は、産油国、石油開発企業・メジャーなどは厳しい状況が続くことになる。今後はOPEC産油国が、どこまで生産を維持するのか、どこで減産に踏み切るのか、北米のシェールガス・オイルの生産を停止するか我慢比べとなっている。
原油価格の急落は、いずれは反発することになり、消費国に、そのツケが回るため、安定した価格での推移が望まれている。だが、先物市場に組み込まれているため石油の実需よりも、他の商品と連動して値動きするため見通しが難しくなっている。
下落の要因は、地政学的リスクの緩和、シェールオイルの増産、中国、欧州の経済成長の鈍化、などがあげられ、その裏返しが上昇要因となるが、下落期間が長いため見通し難となっている。