2014.12.19 のニュース
原油急落で石油開発は影響大 相場を需給に委ねたため続落
原油価格が50ドル台に急落したことから、元売の12月決算は、大幅な在庫評価損が発生して赤字となるが、石油開発業界は、原油価格の下落が、即減収、減益に繋がるため業績は悪化する。開発会社はもとより、新規油田の開発の見直しにより、関連の掘削、データ解析会社、パイプライン建設など計画が見送りとなるなど大きな影響を受ける。
原油価格の急落の要因は、石油需要の伸び悩み、地政学的リスクが緩和してきた、シェールガス・オイルが増産となり、アメリカ輸出国になるなど需給が緩和があげられる。これに加えてOPECの減産の見送りが重なった結果である。
今回のOPECの減産見送りは、従来の価格政策を大きく変更したことになる。今までの流れでは、減産によって需給を締めて市況を下支えする動きとなるが、今回は、価格支配の機能を放棄したことになり、逆に需給緩和によって原油価格の下落を容認した動きに出たことになる。
原油相場は、先物市場で決まっていたが、その背景には、為替のほか、OPECによる生産調整による価格支配もあり、コントロールされた面もあった。今回は需給が緩和傾向にあるが、生産調整(減産)を行なわず、市場を需給に委ねたことになる。その結果が、足元の50ドル台の安値となり、新規油田の開発の見送り、大水深、オイルサンドなどの開発は遅れることになる。
それだけにOPECも原油価格の下落を想定して危機感を持って臨んでおり、短期的な市況維持よりも、増加するシェールガス・オイルの減産に追い込むとの見方がある。いろいろな見方があるが、結果的には、原油高で経済の好調はロシアの国力を抑え込むことなる。今後の動きは不透明であるが、それでも一番の影響を受けるのは産油国であり、生産量が少ない産油国は収入減で財政破綻も予想される状況になってきた。
大産油国であるロシアの経済を直撃、当然、アメリカの国内生産者、シェールガス・オイルの生産にも影響が出る。
原油価格が60ドル割れが続くとシェールオイルは減産されることになる。その結果は、石油製品の需給がタイトになり、原油価格は値上がりするシナリオが予想される。このような安値は、過去例からみても、いずれは値上がりするが、いつの時点となるかは分らない。シェールオイルの生産コストとの我慢比べとなるが、減産の踏み切る時期がポイントとなる。減産が2か月、半年、1年後か見通しは難しいが、地政学的リスクが再発する可能性もあり、不安定な状況が続くことになる。
原油価格の下落は、夏場から傾向をみせていたが、11月27日のOPEC総会で減産を見送りとなったのを機に一段と値下がりしたが、OPEC総会を前にして減産が取り沙汰されていたものである。サウジが生産枠(OPECは3000万バーレル/日)の維持を容認する発言を行なっており、減産見送りの見通しが強くなったため総会前が続落していた。毎月10ドルの値下がりとなったが12月に入り、約20ドルの再下落となったものである。これから需要期に入るため、本来ならば原油価格は値上がりするところであるが、国内は、年末商戦のヤマ場を迎えており、仕切価格の値下がりで市況対策は難しくなっている。