2015.01.21 のニュース
新年会では原油急落が最大の関心事 様子待ち続きで消費者には値下げで還元
石連、石鉱連、全石連、元売各社、石商などの新年会が開催されているが、石油業界の取り巻く当面の話題は原油価格の急落となっている。新年を機にして目標、計画を掲げての取り組みもあるが、原油価格の急落がどこで止まるか、さらに続くのかが最大の関心事となっている。結果的には、原油安はユーザーには還元したが、石油業界には、様子待ちで歩留まりがない状況が続きそうである。
元売サイドは、原油価格の変動は、業績に大きな影響を与えるが、その価格交渉の場がなく、自動的に先物市場で決定される。供給ソースは選択できるが、先物市場で決まるため、その動向を見守りながら、コスト変動を仕切価格に反映させることになる。
原油価格の急落時で在庫評価損が発生して10~12月決算は、大幅の赤字計上となる。3月期決算の企業も1~3月が、今のまま低価格で推移すれば、赤字となる。在庫評価損を除けば黒字となるが、見た目決算は赤字となり、企業活動にも影響する。
原油価格は昨年夏場の100ドル/バーレル超えから足元は50ドル/バーレルを割って40ドル相場となり約半額となっている。原油価格の変動は企業努力ではカバーできない分野であるため打つ手がない。原油価格の急落は08年にも経験したが、同じようなパターンとなっている。夏場から急落して09年初めには底値となり上昇したが、今回は1月に入って一段の値下がりをみせている。当面は値上がりを待つしか方策はなく、様子を見守る状況にある。
販売業界は、仕切価格の値下がりを受けて、末端市況も値下げに取り組んでいる。毎週の値下がりであり、ガソリン市況も130円台の攻防から、安値は120円台が増加してきた。昨年7月以降の連続して値下がりであるため、ユーザー転嫁を遅らせることでマージンを確保するチャンスとなるが、下げ急ぎのため価格競争が展開され、利益を吐き出しているケースも多くなっている。
石油開発業界、元売の石油開発事業は、原油の急落の影響を直接受けて、減収、減益となっている。原油価格の水準が即利益に反映するため、利益も半減することになる。鉱区ごとに契約も異なるため、一律ではないが、原油安は、即減益となる。上期の100ドル/バーレル相場が予想外の夢の相場であると考えて減益の中での対応が求められる。100ドル相場が2年続き、利益が確保できたが、低価格を前提に探鉱、開発の設備投資の計画の見直しとなる。その反面、開発、建設コストも値下がりするためのチャンスにもなる、石油開発業はリードタイムが長いため、原油安の時に計画、値上がりした時期の生産が開始されることが最高のケースとなるため、原油価格には影響されずに投資を継続すべきであるが、足元の油価を無視することもできず、難しいところである。今までの計画は100ドル相場を前提としているだけに難しいところである。
現実に米国のシェールガス・オイルの開発が損益分岐点が40~50ドル/バーレルとされており、減産に追い込まれている。短期戦でコストの回収を狙って、生産を行なっているが、限界に達し破綻するケースも出てきた。同様に中小の産油国も財政破綻が心配となる。シェールオイルと産油国との我慢比べが続いており、誰かがタオルを投げる時期にきているが、仲介の動きはなく、原油価格が上昇するような衝突事件も発生していない。
需給緩和が値下がりの要因となっているが、下げ過ぎも限界点に達してきたとの見方も出てきた。