日刊ニュース

2015.01.26 のニュース

原油急落で見通しは外れる 混迷が続き緩やかな値上がりに期待

 原油価格の見通しが関心事となっているが、昨年7月の110ドルから急落しており、誰もが予想することができなかった展開となった。後から理屈づけとなとなるが、毎月10ドルの下落となり、現在も、見通し難が続いている。 
 それでも見通しを各機関、投資会社、各企業が打ち出している。発表した時点は、疑問視された数値も、その数値をも超えて下落しており、予測しても当たらないのが相場ということになる。しかし、いつも話題となるのが原油価格の行方であり、見通し話は尽きないことになる。
 足元の原油価格は47~8ドル/バーレルで安定して推移しているが、最近は40ドルを割るのか否かがひとつ壁とみられている。相場の流れからみる40ドルを割って30ドルとなれば、シェールオイル、オイルサイド、深海の開発が停止となる。一方では、産油国も財政破綻、世界の経済に影響するため、大国による政治介入の調整を期待する向きもあるが、リーダーも見当たらず当面は現状のまま推移しそうである。
 調整役となれば産油国であるサウジ、口シアであり、対峙するのはシェールオイルを増産しているアメリカとなるが、その気運はなく、我慢比べが続くが世界経済からみるとマイナスとなる。
 産油国は国家財政が基盤となっているが、アメリカは民間企業による自由経済の国であり、国の関与がどこまで及ぶのかは問題となる。国家財政が自由経済との対立にもなる。原油価格の下落は、シェールオイル生産者、国内の原油生産者の経営にも影響し、開発が主力であるメジャーの経営にも影響する。
 このまま自然体で臨めば、価格調整には、かなり期間がかかり、緩やかに上昇するにも今年の後半から、長くみると2~3年かかるとの見方もある。以前は産油国も、財政面からみれば70~80ドルが妥当な水準であるとしており、100ドル水準は、良い心地の水準としていた。
 今までも供給増としながらも、地政学リスクが各地で発生したため、高止まりが続いた。しかし、世界の石油需要が減少、供給増となり、需給バランスが緩和しており、加えて政学的リスクが沈静下したとはいえ、イスラム国の拡大、イラン核問題など紛争地域も多く衝突も予想されるため予断は許さない。
 また、100ドル相場は、開発企業も再投資が可能な水準とみて活発な事業展開をしてきた。その結果が、シェールオイルの開発が短期間で成果をあげたことになり、コスト高である深海での開発が進むことになったことが増産となり、供給増となってきた。
 だが、原油価格も急落で探鉱、開発の計画は、見直しとなり、作業の中止、後退することになる。まず、掘削会社の受注が減少することになり、影響を受ける。開発会社も、油価の下落は、即大幅な減収、減益になるため、減産に追い込まれる。長期的にみれば埋蔵量が減少することになり、需給はタイトになり、再度、原油価格が値上がりすることになるが、需給改善を待つと時間がかかる。
 今までも100ドルを割ったら、80ドル、さらに60ドルが壁との見方もあったが、この壁も一気に突破した。年末、年始で一段の下落で50ドルを割ったが、今のところ47~8ドルで安定しているが、底値が再下落かは、もう少し様子をみないと分らない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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