日刊ニュース

2015.01.27 のニュース

原油価格は緩やかに値上がりか 産油国とシエールとの我慢比べが続く

 原油価格の見通しについて木村石連会長は22日「今が底値であり、今年の後半には値上がりするであろう。米国のシェールオイルとサウジなどの産油国の減産を巡っての我慢比べが続くことになるが、何時まで続くかは分らない」と述べた。
 足元の原油価格は約45ドル/バーレルで50ドル割れとなっている。原油価格は昨年7月の110ドルから急落して1か月間で10ドルの下落を続けたが、11月27日のOPEC総会で減産見送りが決まったのを機に一段と下落した。12月初めは60ドル台であったが、年末、年始の急落で40ドル台となっており、産油国、シェールオイル生産者も危機感を持つが、まだ、減産の方向は出てない。
 シェールオイルの生産で一部に停止の動きもあるが、投資資金を回収するため生産を継続しており、需給緩和の状況は、当分の間は続くとみられ、今が底値とみられるが、値上がりするために需給が締まるまでには、時間がかかる。下落が続いているとの延長線上では30ドルとの説もあるが、一度、30ドルまで下がれば、一気に反発するとの見通しである。
 変動時には、必ず先を見越してオーバーな見通しが出るのが常であるが、ここにきて46~8ドルで安定しているため、今が底値で、今後は緩やかに値上がりするとの見通しとなってきた。
 予測は過去の経験を参考にするが、突発的な紛争、事件が発生する可能性も強く、地政学的リスクも顕在化しており、これに経済、政治問題が絡むため予測は難しい。だが、08年夏からの急落も09年1月に30ドル台となったが上昇した例もあるが、この場合は、産油国の減産で揃ったが、今回は新しいソースのシェールオイルが台頭してきたため問題が複雑化している。
 さらに地政学リスクが沈静化しており、シェールオイルの増産で供給増となっているが、原油とシェールオイルが、ともに減産に追い込まれることになれば、一気に急騰もあり得る。
 産油国もサウジ、UAE、クエイトなど財政面で余裕がある国もあるが、中小の産油国は財政破綻となるため原油価格の上昇を見込んでおり産油国間でも調整の動きも出る。ロシアも油価下落の影響を受けているが、今のところ減産しない方針を維持しているが、歳入減で経済情勢が悪化して、財政が回復には2年かかるとしている。歳出を抑えることで対応、減産には応じない方針であるが、油価の下落はロシアの国力低下を狙ったものであるとの説も出ている。ソ連の崩壊も原油価格の下落が引き金となったとの歴史もある。
 産油国、消費国も下落は予想したが、最低でも60ドルで止まるとの見方が多かったため40ドルは下げ過ぎであり、調整を求める声は多い。しかし、先物相場で値動きしているため、需給タイトの見通しが予想されないと値上がりはしない。シェールオイルとOPEC産油国の減産で調整がつかず、我慢比べが続いている状況下では値上がりは難しい。
 石油の開発関係では、掘削作業の停止、遅延、後ろ倒しが増加、コスト高である深海の探鉱・開発は中止となる。探査・掘削会社は経営難となり、リストラ、M&Aが行なわれている。メジャーも油価下落は財務状況が悪化するためコア資産の処理、M&Aも活動が加速する。油価が10ドルを割った時期(98年)に合併でスーパーメジャーが誕生したことの経過もある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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