2015.02.05 のニュース
多重化する仕切りの不透明さ
仕切価格の水準が不透明化、多重化している。原油価格の暴落時において、仕切り格差が拡大する現象は起こりやすい。昨年12月8日付の本稿でも『価格激変、情報の重要性高まる』と言及し、卸価格動向を注視すべきと指摘したが、直近その仕切り格差について販売業者から不満の声をよく聞く。1月30日、資源エネルギー庁による12月分の卸価格調査結果が発表された。それによると、レギュラーガソリンの全国平均価格は125・2円である。
エネ庁調査の卸価格を一般的な特約店仕切りと考えて、そこから1月中の元売仕切り変動幅を差し引くと、JXの公表値の場合、マイナス10・4円で114・8円、同じく出光はマイナス10円で115・2円、昭和シェルはマイナス8・8円で116・4円と推計される。また、複数の特約店に1月平均の系列仕切り価格を聞いたところ概ね115・5円~116・3円の幅となる。
この系列仕切りについて昨年末以降、”事後修正”の有無ということが取り沙汰されている。もちろん過去にあった事後調整や建値制のようなものではないだろうが、「陸上現物との価格差を月末に修正する動きがある」(民族系SS)との話が各地から聞かれる。そして、こうした動きは販売業者ごとに異なる個別修正の色合いも濃く、足元、販売業界に不透明感を再びを漂わせている。
背景にある最大要因は原油暴落によって発生した、いわゆる業転格差の拡大である。1月平均の相場価格をみると、先物・東京バージガソリンは103円、京浜海上は104円、陸上現物は105円で推移した。推定される系列仕切りとの業転格差は10円程度にも及ぶ。
さらに陸上現物にいわゆるブランド料3~4円を加算したかつての市場連動型仕切りであれば108~109円の水準にとどまる。運賃(1・5円程度)を乗せても格差は明確だ。有力系列SSの中には「ブランド料は最終的に陸上現物プラス1~2円程度になるはず」と話すところもある。業転格差に端を発した仕切りの不透明さはより複雑化している。
「卸価格を下げるとすぐに先取り廉売するSSがある。事後修正の方が市場正常化によい」との指摘もあるが、不透明さは疑心暗鬼というリスクを膨らます。2月に入り原油価格の変動幅はやや落ち着きをみせる。暴落時に発生した矛盾をリセットするならば市場環境は整いつつある。