2015.02.05 のニュース
事業再編で具体的な検討を確認 前向きの取り組みとして評価
経産省は2日、エネルギー高度化法による新判断基準(昨年7月末告示)に対応した各社の「設備最適化」と「事業再編の方針」の検討状況を3ヵ月ごとのフォローアップの結果を発表した。
「設備の適性化」(装備率の改善)は、変化はなく、「事業再編」では「具体的検討を開始している会社も存在することを確認した」との経緯を明らかにしている。具体的は会社名は明らかにすることはできないが、前向きな取り組みが出てきたと評価している。
前回調査の昨年10月末時点で各社から提出されていた「設備最適化」と「事業再編の方針」を含む目標達成計画の変更届は提出されていない。各社の1月末の残渣油処理の装備率も昨年3月末時点の装備率とは変化していないと発表した。
装備率の変化がなかったことは、設備処理(トッパーの削減)と重質油分解装置の増強が行なわれなかったことになり、設備能力は395万バーレル/日は変わっていない。
第二次高度化法が施行された直後であり、需要期入りしているため、需給も締まり稼働率もアップしている状況下では、ほぼフル稼働となっている。足元の12月の処理量は351万バーレル/日(前年は369万バーレル/日、稼働率は85%)となり、稼働率は90%となっている。原油処理量は前年比では5%減となっている。石連週報での稼働率は1月末では91%となっており、設備処理を実施したため稼動率は向上している。
新基準では、さらに装備率の向上を求めており、現在の装備率に応じで改善向上を各社に求めており、全体では処理能力の10%減(全体40万バーレル/日)のトッパー能力を削減すことになっている。さもなければ分解装置を増強することになるが、コスト面から難しく、各社はトッパーの能力の削減で対応することにしている。前回の調査では「当面、自社の原油処理能力を抑制(公称能力の削減)する方針であるとしつつ、他社との連携の検討結果を踏まえ決定するという会社が多くみられる」としていたが、今回では、装備率には変化はなく、改善策(設備処理)は行なわれていない。各社とも期限が3年後であるため、急いで対応することは控えているもので、前回と同様に期限ギリギリでの対応となりそうである。
今回の設備対応は、設備(トッパー)処理では限界となり、公称能力の削減で対応することにしている。設備を廃棄するのではなく自主的に減産することで処理能力を削減したと同じ扱いでカウントすることを認めている。
その場合でも、効率化が見込まれれば他社との検討も行なわれる。しかし、双方の商業ベースでの話し合いとなるため、交渉途中で報告されることは難しく、最終決定を待つには時間もかかる。
「事業再編の方針」については、前回は「概ね、他社との連携を検討する用意があるとするのが大きな方向性であった」が今回は「他社との協議を含めた具体的検討を開始している会社も存在することを確認した」との表現となり、検討を開始した点を一歩前進したと捉えている。
実例としてはコスモ・千葉と極東との連携により製油所間をパイプラインで結び、直接脱硫装置とRFCCとの組み合わせによって高効率、高付加価値の製品が生産されるとして予算措置をつけている。