2015.03.05 のニュース
団塊世代の需要掘り起こし
ガソリン需要減に歯止めがかからない。昨年を振り返ると小売価格の値下がりで12月は前年並みの需要は維持したものの、12月商戦と並ぶ需要期である7月が前年比9.6%減の452万㌔㍑、8月も6.3%減の498万㌔㍑に落ち込み、今年に入っても回復の兆しは見えずSS経営を直撃している。
小売価格も原油価格の高止まりによる卸価格の上昇に加え、4月からの消費税増税が追い打ちをかけ、レギュラー小売価格は昨年夏場まで㍑160円を超える高値に張り付いていた。その後、2月半ばまでは国内の卸価格、小売価格も値下がりが進んだものの、これまでの需要の落ち込み分を取り戻すまでには至っていないのが現状だ。
資源エネルギー庁が昨年3月にまとめた14~18年度の今後5年間の石油製品需要見通しでは、ガソリンは年平均2%の減少率で18年度には5063万㌔㍑まで減少すると予測した。14年度上半期の減販は5.5%にも及んでいることから、年平均2%減という減少トレンドがさらに強まる危険性もはらんでいる。
SSにとっては需要減への対応が喫緊の課題で、これまで以上にきめ細かな需要の掘り起こしが重要になってくる。過去には、1985年の男女雇用機会均等法が成立し、女性の社会進出が徐々に進み始めると、SSでも女性客を取り込もうとセールスルームやトイレの改装、分煙スペースの設置、レディースデーなどを設けて各種の割引サービスを実施するなどの積極的な取り組みが行われた。
総務省が9月に発表した人口推計で、65歳以上の高齢者が過去最高の3186万人となり、初めて総人口の25%に達した。47~49年生まれの団塊世代が続々と仲間入りし、4人に1人が高齢者という時代。団塊世代は「行動的」で「多趣味」、他世代に比べて「金銭的な余裕」もあるとされる。さらに、環境意識の高まりや高品質で低燃費の軽自動車、小型車が多数登場していることもあり、“ダウンサイジング”が自動車の主流となっているが、リクルートがまとめた自動車トレンド予測では、団塊世代の男性を中心にミニバンを選ぶ人が増えているという。ミニバンを買って「孫との時間、子供・家族との時間を積極的に過ごす傾向が見られる」と分析。こうした団塊世代のドライバーの需要掘り起こしが今後の重要な視点となる。