2015.03.09 のニュース
ガソリンのユーザー転嫁は浸透 大幅値上げも値取り達成見込み
ガソリン市況は値上がりをみせており、2月の仕切価格の値上げに伴うユーザー転嫁は浸透している。石油情報センター調査(2日)では平均で139円となっており、3週連続で値上がりとなり、2月2日の134円に比べると通算で5円の値上がりとなっている。地区別では、北海道、東北は139円となり各8円の値上がり、関東は133円から139円と6円の値上がりとなった。四国は141円、九州は142円で140円台に乗せた。首都圏も東京は142円、千葉、埼玉は135円となり7円の地域格差が存在する。
2月の仕切価格は、累計では9円程度の値上がりであるため、未達の地域もあり、次回の調査(9日)では値上がりが見込まれている。だが、5日からの仕切価格の改定が据え置き(JX、出光)となったため、末端市況の動向も微妙となってくる。この調査価格は、現在もユーザー転嫁の最中の地域もあるため値上がりが見込まれている。
今後の原油価格の動きにもよるが、WTIは51ドル/バーレル、ドバイも58ドル、為替は120円/ドル前後で推移しており安定しているが、変動要因は残っており、見通しは不透明である。
仕切価格の値上げ、ユーザー転嫁は、原油価格、為替の動向にもよるが、その時点の需給状況などのタイミングも重要である。小刻みに値上げすると途中で中だるみとなり、未達に終わるケースが多く、一気に値上げしないと完達できないこともありタイミングが大切である。
今回の2月値上げは5円と、ついで2~3円の連続した集中値上げとなった。前後の1円値上げもあったため、累計では、大幅値上げとなり、販売業者もユーザー転嫁に取り組むことになった。
原油価格(ドバイ)は1月の40ドルから2月には58ドル台へと一気に15ドル程度の値上がりとなった。週決めの価格改定で5円の値上げには、販売業者からも予想外の値上げ幅となったため反発も出た。引き続き2~3円の値上げとなったため、販売業者も、反発する時間的な余裕もなくユーザー転嫁に追い込まれることになった。
仕切価格の値上がりが大幅となったため、一時期は仕切価格と業転市況との間に10円以上の価格差が生じたが縮小されてきた。先物も60円/リットルと値上がりしてきた。
昨年秋からの値下がり局面でも週単位で4円程度の値下がりを経験しており、今回の仕切価格5円の大幅値上がりも容認したことになる。原油価格の値上がりのコスト増と未達分の加算、業転市況、他社の動向など総合的な判断によるものとみられる。
現行の仕切価格の改定は、原油価格、為替などのコスト変動を基調にしているが、市況動向など総合的に判断して実施するとしている。そのためタイミングをみて、コスト変動の他に値下がり分を取り戻すための値上げも実施することになったようである。
値下がり局面でも、市況実態と離れた仕切価格を維持するとシェアを失うことになるため、月内で調整(値下げ)することもある。仕切価格の変動は原油価格リンクのコスト変動が中心となるが、コスト変動のみでなく、場合によっては、市況実勢、業転市況などを参考にして総合的に判断して対応することになる。
今のところは、需要期であり設備処理を実施した直後であるため、稼動率も90%以上の高稼働であるため需給は締まっており環境は整備されている。