2015.03.12 のニュース
広がり始めた「石油の力」
3月2日、石油連盟主催の「石油の力」シンポジウムが都内で開かれた。東日本大震災から2年目の2013年3月から始まった同シンポジウムは今年で3回目。大震災での経験を踏まえ、エネルギーの中での石油の重要性や石油業界による安定供給の取り組みを、消費者に幅広く周知するために行われている。
このシンポジウムには毎回、サブテーマが付く。第1回目が「消費者に選ばれるエネルギーを目指して」、第2回目は「安定的に石油製品をお届けするために」、そして今回が「家庭におけるエネルギーベストミックス・石油は暮らしの守り神」である。石油とその供給のあり方を消費者の視点で考えようという企画だ。
月刊誌に定期的に石油の現場をルポルタージュしてきた作家の神津カンナ氏が、昨年に続き基調講演を行った。ルポは、生産から末端供給に至る石油のサプライチェーンに携わる石油業界人の取り組みや、それを使う人たちの姿を、新鮮な目で生き生きと表現している。講演では石油の便利さや大切さをわかりやすく、そして敬意をもって紹介してくれた。神津氏のような発信力のある人による問題意識の投げかけは石油業界にとって心強い。現場を知りその重要性を理解する同氏のような有識者がもっと増えれば、国のエネルギー政策の議論も石油重視に向かうはずだ。
第2部のパネルディスカッションも消費者の意見をもとに討論が進む。主婦連合会や日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の代表が1回目からパネリストとして出席しており、最近ではそれぞれの団体内で「暮らしと石油」「石油の一生を知ろう」などをテーマに学習会や意見交換会が活発に行われていると紹介された。学習会では再生可能エネルギーだけでなく、暮らしに密着した石油の使い方や災害時の教訓をもとにエネルギーベストミックスの必要性が指摘されているという。
さらにはSS過疎地化への懸念も。「(値段の)安いガソリンを求めて何㌔も走っていたら地元のSSが潰れてしまう。我々消費者もSSを地域インフラとして考えていかなければならない」。こんなやり取りが消費者団体の中で行われるようになったのもシンポジウムを続けてきた成果だろう。常に消費者と接している石油販売業界としても「石油の力」を発信していかなければならない。