日刊ニュース

2015.03.26 のニュース

石油の重要性、石油火力の位置づけを -平常時での安定需要を求める-

 石油連盟は、15年度の事業計画の重点策としては、新たなエネルギー政策への提言として、①石油の重要性、②電源構成における石油火力の位置付けの明確化をする、ことをあげている。
 この提言は、以前から行なわれているか、現在、審議中であるエネルギーミックス小委に対しての意見ともなる。議論は、これからヤマ場を迎えているため、石油の重要性を再確認することを要請することになる。
 石油政策の議論は、すでに石油・天然ガス小委で一応の議論は終えている。
 石油は一次エネルギーに占めるシェア(石油依存度は、約43%)は一番高く、今後も変わることはない。石油に対しては、安定供給の確保が求められているが、その重要性の認識は、東日本大震災の機に認識されたが。平常時に戻ると関心は薄れる。それだけに通常から安定供給が確保されていることになるが、最近も原油価格の乱高下がしているが、供給不安は生じていない。
 原油価格は約3年間は100ドル/バーレル相場続き、昨年夏以降は急落して今年1月には40ドルまで値下がりした。2月には反発して50ドルに戻したが、3月に入ると値下がりするなど、ここにきて混迷状況にある。原油価格の下落はシェールオイルの増産、アメリカの原油在庫増、OPECの減産見送りなどの要因が重なっている。
 原油価格が値下がりすることは、石油製品の値下がりとなり。物価の値下がりに繋がると、消費が増加して、経済成長には好材料となる。石油製品の需要回復にも期待され需要減に歯止めをかけることになる。
 しかし、原油価格の乱高下は、石油業界ではコストの変動に対して対応が遅れることになり、体質を弱体化させることになる。結果的にはサプライチェーンの維持・強化にはマイナスとなり、原油価格の安定化が望まれる。だが、原油価格は先物市場で決まるため、見通しは難しい。コストに影響する為替相場も石油産業の手の届かないところで決まるため、受身の厳しい立場にある。
 加えて競争が激しく精製・元売から流通の販売業界までが赤字となっている。とくに元売の3月期決算は、原油価格の急落で巨額の在庫評価損が発生するため赤字となる。構造的にも供給過剰の状況が続くことから競争力強化法、高度化法という2法により、設備処理、事業再編が求められている。
 販売業界はSSの減少が加速しており、SS数もピーク時の6万SSから半分の3万SSとなる。減少は競争力が弱い特約店経営のSSが多く、過疎化問題が発生しているのが現状である。
 また、電源構成については火力発電(石油、石炭、LNG)の扱いが議論となる。石油火力は、東日本大震災を機に、原発の停止による不足分を急速カバーする役割をはたして評価された。休止していた石油火力を立ち上げるなど緊急時として活用された。
 困った時の石油頼みとし役割をはたしたが、安定すると割安な石炭、LNGにシフトすることになる。緊急時には、供給確保を要請されるが、平時からの安定需要が確保されないと、緊急時に対しては供給することが難しいと要請している。さらに、石油火力は、現在、新設が認められていないため、増設、リプレースを認めるなど位置付けを惺言しているが、コスト、環境面からのマイナス要因もあり、電力業界の対応が求められる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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