日刊ニュース

2015.03.26 のニュース

神奈川県警の波紋広がる

 神奈川県警が今年4月からガソリンなど石油製品の購入を一般競争入札に切り替えたことが波紋を呼んでいる。入札の結果では東京本社の大手商社が落札し県内各警察署への供給を担うことになった。当然ながら県内津々浦々まで供給できるほどのSS網を持つ販売業者は、元売販売子会社を含めていない。「店舗を持たない販売業者が、他店の軒先を借りて売る仕組み」とされ、販売業者から不満の声が上がる発券店値付けカードのシステムが今回も大きな影響を与えることになった。
 まして今回は官公庁、しかも最も緊急性の高い公共機関の1つである県警がこうした発券店値付けカードを採用したことが地元業者を驚愕させている。これまでは所轄ごとに地元SSが契約を結びガソリンなどを供給してきたものが、事前の協議もなく一変されたことはショックである。災害時における石油製品の供給は担保されているのかなど様々な疑問が過る。所轄の中には独自に最寄りのSSと災害時の供給について締結しているところもあったはずだ。
 東日本大震災時、県内でもガソリンなどの供給が滞りSSに長蛇の列ができた。その際、在庫をやりくりしながら県警などへの供給を担った地元SSの中には、その後さらにその機能を強化するため、中核SSになったところもある。積み上げた努力や思いは、カードのもたらす平時の便利さの前に台無しにされた格好である。県警本部は所轄管内を越えて給油できることになり「広域捜査への利便性があがる」としているが、それであれば石油組合と官公需の契約を結ぶ方法もある。それなら系列を問わず最寄りの組合員SSでの給油が可能になる。
 4月以降、横浜市内のある所轄では、所轄内に発券店値付けカードが使えるSSがないため、隣の所轄管内までいくつものSSを通り過ぎ、わざわざ給油に行くことになるという。「本当に利便性が高いのか。これで災害時は大丈夫なのか。地元市民としても納得感がない」、「売上高は個々のSSでなくカード発券する本社にいくはず。地方税の軽油引取税が都に流れても県は良いのだろうか」と疑問の声は続く。いつ巨大地震が直撃するかわからない首都圏である。災害時への備えとして、県警と地元SSの間に少しでも溝があればそれが憂いになる恐れもある。早急な解消が必要である。神奈川県警の波紋が広がる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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