2015.04.01 のニュース
業転との価格差拡大で仕切調整 今後の市況対策にも影響か
ガソリン仕切価格と業転価格との間に価格差が生じてきた。3月期決算を前にして元売と販売業者間で調整が行なわれており、双方の思惑に違いもあるが、4月末には決済される。今後の市況対策にも影響しそうである。
原油価格が昨年秋から今年1月末まで急落したが、2月に値上がり、3月では再度値下がりするなど、大きく変動した。そのため原油のコスト変動による仕切価格と業転との間に価格差が生じてきた。一連の下落局面が1月までと長かったが、今度は、2月では値上がり、3月では値下がりと短期間に変動したため、価格差が生じてきた。
原油価格の値下がりは、ガソリンの先物、業転が先行して値下がりとなるため、仕切価格の値下がりは遅れることになる。一方、末端市況も、原油価格の値下がりを先取りして値下がりすることになり、販売業者も、当面は周辺の市況に対応して値下げするためマージンは減少した。ここで決算を作成する段階となり、マージン減で赤字となるため、元売に調整を求める動きが出てきた。
原油コスト連動方式は昨年6月から実施となったがとしては原油価格の値上がりを想定していたようである。以前の業転連動方式では、原油が値上がりしても、業転市況の値上がりを待って仕切価格を値上げすることになり、原油コストの変動分(値上がり)を即転嫁できず、元売が後手に回り、不利となるため変更したものとみられる。原油コスト連動方式がスタートしたが、その直後から原油価格は下落局面となり、裏目に出たようである。
原油コストの連動方式の導入は、値上がり局面を想定していたものである。原油価格は100ドル/バーレル相場は、需給からみて高過ぎるため、いずれは値下がりするとの見方もあったが、3年以上も続いたため、値下がりしても80ドル程度と見られていたが、1月には40ドルまで下落した。この下落は予想外であり、原油価格の見通しの難しさを実証したことになる。
OPECの減産見送り、シェールオイルの増産となり、世界の石油需要の伸び悩み、地政学的リスクも、その都度発生していたが、沈静化してきた。
原油コスト連動方式の変更は、原油コスト分(値上がり分)は即回収することを狙ったが、今回のような予想外の原油価格の大幅下落が長期にわたっていたのと、その後は値上がり、さらに値下がりとなり、市況実態と乖離したものとなってきた。
その結果、仕切価格が高値となり調整の要求がでてきたが、元売も系列販売を維持するためには対応する方向となったようである。減販による供給増から、系列の大手特約店が、業転玉を放出するケースもあり、いわゆる系列内業転も出回る状況となったため価格差が明確となってきた。
だが、仕切価格が連続して値下がりしていた時期には、末端市況の値下がりが遅れた堅調地区ではマージンを確保するケースもあった。だが、市況下落が長期にわたったこともあり、結果的にはPB、HC、量販店が先行して安値攻勢をかけたため市況は下落してマージンは減少してきた。
さらに、2月には仕切価格が値上がりとなり、末端市況は追いつけず、ますますマージン減となってきた。それでも、2月値上げでユーザー転嫁に取り組み、軌道に乗ったかにみえたが、3月入りで値下がりとなったため、末端市況は混迷し、販売業者の経営は苦しくなり、仕切価格の調整要求が出てきた。