2015.04.06 のニュース
公称能力の削減で、まず3万B/Dを削減 自主減産で需給調整の効果を期待
第2次高度化法に基づくトッパー能力の削減が4月から実施される。出光・千葉製油所の能力は22万バーレル/日であるが2万バーレル/日を削減して20バーレル/日に、東燃ゼネラル石油・川崎工場は26万8000バーレル/日を1万バーレル/日削減して25万8000バーレル/日となり、両社で3万/バーレルの能力を削減される。
第二次高度化の期限は、2年後の17年3月末となっており、その間に約40万バーレル/日を削減することになっているが、その最初の能力削減となった。エネ庁による高度化法によるフォローアップでも報告となった。
いずれも「公称能力の削減」となる。設備(トッパー)を廃棄、改造して能力を削減するのではなく、公称能力を削減するものであり、設備は、そのままして、自社の判断で原油処理量を自主的に減産することを申告したことになる。減産することで供給増を解消することになるが、その実績は、エネ庁が原油処理量を調査することで実効をウォッチすることなる。各社の対応も、競争力を失った装置は廃棄するケースもあるが、製油所閉鎖には、雇用問題も絡むため、公称能力の削減で対応するケースが多くなりそうである。第一次の告示での能力削減は、装置を廃棄すると定めていたため、実際に徳山、坂出、室欄などのトッパーが撤去され生産を停止した。その後は化学工場、油槽所に転用して操業を続けているが原油処理は行なわれていない。その他の製油所でのトッパーは廃棄されており、1次告示の結果で能力は395万バーレル/日(14年4月以降)の規模で推移しており、1年前に比べると約52万バーレル/日の減となっている。ちなみに1月平均の原油処理量は357バーレル/日となり、稼動率は90.3%となっている。4~6月の75%に比べると上昇している。
さらに今回は3万バーレル/日の削減が追加となるため、統計上では稼働率は向上する。だが、需給面での実際の効果となると、需要が減少しているため評価は難しいが、能力の削減を積み重ねることで需給調整に結びつくことになる。
『公称能力の削減』は、装置の廃棄に伴う能力削減で対応するとトッパーの企業などでは、廃棄する装置に余力がなくなり、操業が不可能となるため新しい対応策として認めたものである。
装置は、そのままの規模を維持して操業(稼動)させるが、生産能力を削減させることで生産量は抑えることになる。実質減産となるため過剰設備(供給増)の解消となり、減産効果が見込まれる。生産能力を引き下げることになり稼動率が向上することになる。
実質減産で稼働率も向上するが、実際の需給にどう反映するかバーレルの動向をみることになるが、2に示の期限は、残すのはあと2年間であり、長いようで短い。ギリギリのところ数字合わせするのか、早目の対応をするのか各社の出方も注目される。
さらに、今後も需要の減少が続くため、現行の高度化法で第3、4次を継続するのか、製油所が存続できなくなるケースが出てくる。そのためには、早期に事業、業界の再編を行ない、規模を拡大して、その後に設備廃棄に取り組むべきであるとの見方もあるが、近く平成27年度から向こう5年間の需要見通しが策定されるため、その数字をみながらも議論となる。