2015.04.07 のニュース
灯油復権を風化させない
原油価格の急落による小売価格の値下がりが追い風となって、需要拡大の期待感が高まった2014年度シーズンの灯油商戦は、2~3月にかけて需要がしぼむ期待外れの結果に終わったようだ。資源エネルギー庁がまとめる石油統計速報によると、昨年11月は前年比14・1%減の166万㌔㍑と苦戦を強いられたが、12月は寒波・豪雪など厳しい冷え込みが続いたことで、7・9%増の309万㌔㍑と2年ぶりに300万㌔㍑の大台に乗せた。しかし、1月は寒さが緩んだ地域もあるため、需要増にブレーキがかかり3・4%減、2月も2・5%減と失速。3月も昨年の消費税増税による駆け込み需要の反動減から大幅減が見込まれるなど、厳しい商戦となった。
寒さが厳しい北日本地域などでは、石油機器の暖房性能の高さに加え、小売価格の値下がりによって値ごろ感が増したことから、電気・ガス暖房機からシフトする動きも一部にはみられたようだが、灯油・石油機器の復権への道のりは依然として険しいと言わざるを得ない。都市部などを中心に集合住宅やマンションのほか、一戸建てでも気密性の高い住宅が増え、電気やガスへの燃料転換の動きはじわじわと広がってきている。
全石連では年々減少する灯油需要に歯止めをかけるため、石油連盟などと連携して“灯油復権”活動を展開している。石連では機器メーカーの協賛を受けて、14年度シーズンも10月1日~12月7日までの約2ヵ月間にわたって「灯油でほかほかキャンペーン」を展開。キャンペーンに呼応して、灯油の需要拡大に取り組む石油販売業者のほか、県石商でも同キャンペーンに相乗りする形で、イベントや独自の灯油祭りを行うなどして、需要の掘り起こしを図った。一方で大規模災害を見据えた石油製品の安定供給確保に向け、平時から石油の利・活用を促すため、地方自治体への訪問・提案活動などに取り組む動きも各地で活発化した。
発生から丸4年が経過した東日本大震災の被災地では、1にガソリン、2に食料、3に灯油と、復旧・復興に欠かせない物資として石油製品の重要性が改めて浮き彫りとなった。とりわけ灯油は多くの避難所を暖める暖房燃料として使われた。大震災で再認識された灯油の重要性を決して風化させてはならない。地道な灯油の復権活動には終わりはない。来シーズンに向けた灯油復権活動はこれからが本番である。