2015.04.14 のニュース
過疎対策の先進事例集約を
地域に根差して燃料供給を担ってきたSSが次々に撤退していることから、全石連は長年にわたりSS過疎化の懸念を訴えてきた。過疎化阻止のために「SSは地域の公共インフラ」であると訴え、市場の安定化によってSSが自立経営できるように公正・透明な取引の実現を求めてきた。突如、膨大なコスト負担を迫られることになった地下タンクの漏洩防止対策などについても国の支援制度を獲得して、SS経営の維持を支えてきた。
しかし、残念だがこうした努力にもかかわらずその懸念は現実のものとなり、全国で1日に4SSが市場から撤退している。一般のマスコミ報道などでも「SS過疎地」や「ガソリン難民」「灯油難民」という言葉が定着している。
こうした中、4月2日に資源エネルギー庁主催の「第1回SS過疎地対策協議会」が開催された。エネ庁はこれまでもSS過疎化の実態調査や販売業界・精製元売による検討会などの場を設けてきたが、今回始まった協議会は、全石連と石油組合、石油連盟と元売各社、全国農業協同組合連合会(JA)、さらには総務省地域力創造グループ、消防庁、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部の担当者をオブザーバーに加えた本格的な協議会としてスタートした。
同協議会の当面の進め方として、SS過疎対策として実際に行われているSS事業者や地域住民、自治体などによる先進的な取り組み事例を収集し、今後、SS過疎対策が必要となる案件に対し、関係者がこれらの先進事例を参考に個別具体的なコーディネートプランの紹介や調整をしていく方針だ。
一方で、SS過疎化に関する地方自治体の理解や協力度合いも異なる場合が多い。そのために各地方経産局単位で自治体担当者への説明会を開催する。地域の過疎の状態も様々で、住民がSSに求めるニーズも異なっている。だから一律の対策が講じられないというのがこの問題の難点だ。だからこそ多様な先進事例を集め、必要とされるところに紹介し、支援していく仕組みが本格スタートするのは大いに期待できる。
ただ、高齢化や過疎化が進む地域においても、SSが自力で経営を維持できるような収益構造ならば、このような特別の対策は必要ない。公正・透明な市場競争によるSSの再投資可能な健全経営こそが、強力なSS過疎対策でもある。