2015.08.25 のニュース
資源・燃料部は新体制で臨む 供給源の多角化、事業再編など
産業構造審査会は19日に開催にされ、平成28年度の経済産業政策の重点を決めた。各部会の会長が出席、検討してきた政策の重点策をまとめたもので、28年度予算要求と政策推進を後押しするものである。
うち石油の重点策としては、①供給源の多角化、権益の確保(自主開発比率の向上=40%以上)、メタンハイドレート・水素の開発・利用の促進、②国内エネルギー供給網の維持・強化(事業再編・強靭化・SS過疎化対策など)をあげている。
資源・燃料分科会の報告にも織り込まれているが、事務局の資源・燃料部の部長、石油関係の全課長が交代する新体制となり、政策推進、予算確保が注目される。
供給源の多角化は、原油調達は中東依存度が83%、ついで多いのはロシアの8%となっており。すべての燃料の中でも石油は調達リスクが高い。そのため中東依存度を低減しつつ、多角化のためには米国、カナダからシェールオイル・ガスなどの輸入計画の推進があげられている。米国の場合は原油の輸出を禁止しているが、シェールガス由来のLPGは輸入されており、国内の輸入シェアは14%と拡大している。LPGの中東依存度が低下している。また、米国政府に禁輸出政策も解禁を求めている。
上流権益の獲得には、中東の安定性は重視されるため関係強化の努力を継続しながら中南米、アフリカ、北米など権益獲得を狙う。油価が50ドル/バーレル台と下落しており、投資のチャンスが増大しておりそのためには、資源外交の活発化、リスクマネーの供給が不可欠となり、来年度予算要求には織り込まれることになる。今年の4月に国際石油開発帝石がUAEの陸上鉱区の権益5%(8万バーレル/日)を獲得したことが評価されており、原油はホルムズ海峡を回避できるため、日本の安定供給に寄与する。
国内ではメタンハイドレートの開発を太平洋側の砂層型で進めている。引き続き日本海側では表層型で資源量把握のための調査を15年末までに終了、その成果を基に、資源回収技術などの本格的な研究開発に着手する。国の構造性天然ガス基礎調査も島根沖で実施する。
元売・精製業に対しては、事業の再編を求めている。報告でも「国内の安定供給という使命を達成するためにも基盤確保のためにも躊躇することなく事業再編を進め、今後さらなる国内のエネルギー事業の再編や総合エネルギー化の先導者となる資格と使命がある」と指摘している。
事業再編は、高度化法により実施となった。設備処理によって進められ、2次告示では2017年3月末までには40万バーレル/日のトッパー能力を削減することになっている。現在、一部の企業では、公称能力の削減が行なわれているが、最終目標達成の期限を待つまでもなく早期達成を促している。
そのため「未だに取組みを公表・実施しない企業もある。石油業界全体として事業環境を直視し、危機感をもった機敏な経営判断の下に、国際競争力の強化に向けた設備最適化の措置や事業再編につき早期に意思決定がなされることを期待する」と強く後押ししている。
このタイミングに合ったのか出光と昭和シェルとの経営統合が発表となった。出光が親会社のシェルが保有する株式を取得するもので、一気に集約が実現する。この結果、シェアは30%となり、JXの35%に迫る2位となる。残るのは東燃ゼネラルとコスモとなり、両社の対応が注目されている。両社が統合するのか、どちらかが上位と連携すると50%となるため、シェア争いも微妙となってくる。