日刊ニュース

2011.01.20 のニュース

良質なサービスがフルの強み

原油の高騰を受けて卸価格も上昇基調で推移した年末年始だったが、卸に関しては、ほぼ大過なく乗り切りつつあるといっていい。一方の小売は卸上昇を転嫁できているかというと、首都圏などの上げ幅から判断すると、まだ途上だろう。小売価格の修正が、これまでの未転嫁分の回収にまで及ぶかどうかはまだ不明だが、いまの状況を再投資可能な収益確保への足場を築くスタートと位置付けたい。
 そもそもSSの提示価格は、そのSSが提供するガソリンなどに付した“自己評価額”であるはずだが、周辺SSへの追随を経営方針としてきたこれまでの習いから脱皮できず、自損行為を続けてきた。その結果が年間2千ヵ所にも届きそうなSS減少という猛烈な破綻劇ではなかったのか。他のSSに売り負けしかねないという不安を抱え、同一レベルの価格に倣うことによって、経営危機を招くのは悲劇に近い。
 多くのSS経営者が陥っている周辺SSとの同化から完全に免れているSSを、本紙は昨年12月「質の高いサービスで孤高を貫く」の見出しを付けて紹介した。周辺SSで比べて20円程度も高い価格設定をしながらも、顧客から支持されている理由は、顧客満足度を全員が追求する姿勢だという。給油時に車の調子を尋ねたり、タイヤ点検、トランクの中まで行う清掃など、フルサービスの得意技を徹底、こうした顧客対応は
社長が参加しないSSマンのミーティングが確認の場となっているという。スタッフ自らが決め、実行しているからこそ、ドライバーにも他のSSとの違いが感受でき、20円高い同SSの自己評価(価格)を受け入れてくれるのだろう。
 価格をSS選択の判断基準にするドライバーを大量生産したのはこれまでの我々だが、ドライバーが求めるのはそれだけだろうか。セルフSSの出店テンポがシェア20%を前に急ブレーキがかかったのは、セルフに適する立地が少なくなったこと、セルフ間競争の激化による敗退SSの増加などが要因と見られるが、良質なフルサービスをドライバーが再評価する兆しかもしれない。
 東洋大学の小鳥正稔教授は各地の講演会で、顔の見える顧客の維持、人材の育成などを通じた個性的なSSの実現を訴え、「入りやすい店づくりから入るための理由がある店づくりがカギ」と指摘しているが、長崎のSSはその好例だろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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