日刊ニュース

2011.01.25 のニュース

市場連動制定着で元売は黒字に ―系列内仕切差縮小で公平性を保つ―

 原油価格の高騰で仕切価格が値上げとなり、販売業者はユーザー転嫁に取り組んでいるが、末端の市況について、天坊石油連盟会長は「市場連動制に移行して3年を経過したが、定着してきた」と評価している。
 それでも「ガソリンの仕切価格は昨年9月から約6円の値上げをしたが、末端市況の値上がりは4円止まりであり、2円が未達であるためユーザー転嫁が望まれる」と述べている。
 業転市況に連動した仕切価格の値決め方式が定着したことで元売の業績も今年度から本業の石油事業で黒字となってきた。この新体系は、スタートから2年間は元売、販売業者の業績が赤字であり、販売業者からは「赤字が続き、これでは元売、販売業者とも共倒れになり、何とか方策はないか」との反発が出た。
 市場連動制がスタートした時期は、①原油価格の値下がり局面であった、②需要が減少して供給増となり、業転市況が下落した、③設備過剰で需給調整が難しい状況が続いた、などの悪材料が重なった。
 元売各社は、市場連動制の定着には需給をタイトにして業転市況を値上げすることが最大の課題として捉え、過剰設備問題の解消に取り組んだ。エネルギー供給高度化法の判断惑準が発表となり、各社は法律に沿って2013年度末までに設備を処理する計画をエネ庁に提示した。このこともあり、設備を廃棄するまでには至っていないものの、能力削減をすることになり、自主減産に取り組み需給調整を図った。その結果、需要に見合った生産が定着して業転市況が値上がりしてきた。さらに4月から販売シェア35%を保有するJX日鉱日石エネルギーが発足、業界のリーディングカンパニーとして役割を果たすことになった。加えて、4月から仕切価格体系を見直し、ブランド料の引き上げ、タイムラグの短縮などにより、実質仕切価格の値上げを行なったことが業績回復に寄与した。天候も、夏場は猛暑でガソリン、C重油が増販となり、冬場は厳冬で灯油販売はマイナス予想を上回り、数量が増加していることも石油業界に見方し、フォローの風が吹いたことになる。
 販売業者も仕切価格の見直しには、ブランド料を引き上げた新・新体系に対して、業転市況との間に価格差が生じるとして反発したが、定着してきたため、不満であるが容認している。たしかに業転市況と仕切価格との間には価格差が拡大しているが、系列内の仕切価格については、大手、小手の販売業者間での価格差は縮小されており、公平さが保たれている。あとはマージンをどの程度確保するかとなってきた。
 そのため、大手と小手の販売業者間で、ガソリン販売価格の価格差が縮小されてきた。以前は大手販売業者のSSでは、一般のSSに比べると大幅な安値で販売していたが、安値販売は姿を消している。
 同じ土俵の上でSS経営することになり、合理化でどの程度のマージンを確保するのか、コスト競争力の差となっている。同じ元売の系列内では仕切価格の数量訓引きは存在するが小幅であり、全体では価格差は縮小され公平となっている。ただ、無印SS、HCなどは割安な業転市場から購入しているため、一般の系列SSとの間では依然として販売価格差が生じている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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