日刊ニュース

2010.07.07 のニュース

JX発足 市況安定にはプラス要因 販売業者にも不安と期待

JX日鉱日石エネルギーが発足したことで、燃料油販売シェアは34%、ガソリンは35%の圧倒的なシェアを持つリーディングカンパニーが登場した。これを機に石油業界の過当競争が沈静化され、再投資が可能な適正利益が確保でき、安定した経営が継続できると期待されている。集約が進むことで強靭な石油産業の発展が見込まれるというのが、今までの見通しであった。だが、石油需要の減少が続き、過剰設備問題も残っており、需給バランスを保つにはまだ時間もかかるが、JXの発足で新しい方向がハッキリと示された。
 今まで、過当競争の要因として元売、SSの数が多いとか、リーディングカンパニーがないことが指摘されていたが、この問題点は解消される。
 過去において石油産業のあり方が検討され、報告書では民族系元売を2~3グループに集約すべきとしていたが、今回のJXの発足で、主要な民族系元売はJX、出光、コスモとなった。外資系はエクソンモービルと昭和シェルとなっており、あとは太陽、三井となる。
 自由化の進展や予想以上の石油製品需要の減少で、政策的な誘導策はなくても一気に集約が進むことになった。次の再編も話題になる状況下にあるが、当面は様子待ちとなる。各社も出方を見ることで、けん制が続くことになり、シェア争いが表面化することはないとみられている。
 JX内部でも、これから統合のメリットを追求するための調整が本格化する。統合によるシナジー効果は当初の600億円から200億円積み上げて800億円を狙っている。本社、支店は統合されたが、実際に機能して整備されるにはまだ時間がかかり、引き続く関係子会社の統合はこれからの調整となる。SSのサービス部門、輸送、不動産、商事など各部門の統合が行なわれる。
 販売子会社の「ENEOSフロンティア」、「JOMOネット」は存続しているが、これも調整、統合される。SSのブランドは「JOMO」から「ENEOS」に変更になり、そのための作業が始まった。
 また、特約店サイドでも、今まで競争相手であったものが同じ系列となることから不安も残る。Jエナジー「JOMO」ブランドのSSは「ENEOS」に変更されることになり抵抗もあるが、「ENEOS」に替わることで最大のネットワーク網に入り販売力の増強につながるメリットもある。ただ、両社のSSが隣接している場合は身内での競争が展開されることになる。
 このような状況は、特約店サイドも元売の合併に際して経験したことであり、慣れてはいるが、今回は大型であるため影響は大きい。地域によっては60~70%のシェアを占めることになり市況の安定化にはプラスになるが、系列内での淘汰も行なわれることになる。
 販売業界では、JXの発足で過当競争が少なくなり市況が安定すると歓迎しているが、はたして思惑通りに推移するか、ここ当分は様子を見ることになる。経済原則では集約が進めば過当競争は少なくなるが、自由化されている市場では、残った販売業者間による競争がエンドレスで続くとの見方もある。HCなど異業種の進出、商社系、量販店などの大手業者間での競争激化も予想される。

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