日刊ニュース

2011.02.02 のニュース

灯油商戦勝負時はあと1ヵ月 ―寒波到来で緊急輸入も見通し難―

灯油商戦は、寒波の到来で活況を呈している。元売在庫は194万KLと200万KLを割る低水準であり、需給はタイトな状況にある。そのため安定供給を確保するとして、石油各社は緊急輸入、増産で対応している。灯油の本格的なシーズンは2月末までのあと1ヵ月であるため、ここが勝負時となる。
 需給タイトを背景に灯油市況は原油価格の高騰もあり、先物、業転市況が値上がり、これに連動して仕切価格も値上がり、元売のマージンは確保されている。灯油の先物、業転市況物が6万5000円/KL程度であるが、ガソリンは5万9000円で灯油の方が6000円も高値となっている。仕切価格の値上げを受けて末端市況も値上がりしており、SS店頭は85~90円/L、配達は95~100円となり販売業者もマージンを確保している。
 冬場は「灯油高のガソリン安」の価格体系となるが、今冬の灯油販売は例年に増して高マージンを確保している。寒波の到来もあり、願わくば灯油の大幅増販を期待したいところであるが、その割には増販は見込めず、微増となっている。だが、今後はマイナスが続くことになる。今シーズンは増販となったとしても一過性のものである。
 夏場は猛暑でガソリンが増販となったのと同じパターンをたどっていることになる。石油業界としては、猛暑と厳冬で久振りにフォローの風が吹いたことになる。しかし、灯油は天候次第であり、今後も寒波が居続けるのか暖かくなるのか、予想は難しい。冷え込みが続くとみて緊急輸入で対応している。暖かくなると供給増となり裏目に出ることも予想されるが、石油各社は安定供給を優先することになっている。
 今シーズンの灯油商戦は、販売減少を見込んで、夏場から前年に比べて低在庫で臨んでいた。だが、予想外の冷え込みが続き、増販が見込まれる状況となってきた。寒波到来で豪雪となり、積雪の被害も出るなどローリー、内航タンカーの運航にも支障が生じた。それでも安定供給には万全の対応で臨んでおり、今のところ供給がショートしたことはない。
 ただ、灯油販売は寒波が到来した割りには増販となっていないようである。これは電気、ガスヘの燃料転換が進んでいるためである。従来であれば、これだけ全国的に冷え込めば、大幅な増販が見込まれるが、伸び悩んでいる。この現象は、昨年夏場の景気対策でエコポイント制が実施され、エアコンが大幅に普及したことも一因と指摘されている。エアコンが、この冬場で暖房用として稼動することになり、灯油の消費を抑えることになったようである。景気対策としてのエアコンの普及が、皮肉にも灯油増販の足を引張ることになった。
 エアコンでの暖房は、完全に冷え込んだ室温を上げるのには難しいが、一時的な暖房には便利であり、使用するケースが増加したのではないかとみられている。エアコンの普及が灯油販売にブレーキをかけることになったようであり、景気対策は石油業界にとっては裏目に出たことになる。
 今冬は大寒波で販売を押し上げることが期待されるが、燃料転換が加速して、小幅な増販に留まりそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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