日刊ニュース

2011.02.08 のニュース

3月期決算は上方修正 ―元売、マージン改善で増益見込む―

石油各社の4~12月の決算が発表されているが、増益となっている。とくに本業の石油事業は製品需給の調整が行なわれ、マージンが確保されたことから、前年同期に比べ大幅な増益となっている。通期(3月)見通しでは、引続き1~3月も好調で推移するとみている。1~3月の原油価格は原油価格が85ドル/バーレルの高値で推移し、石油製品のマージンが改善されるのと、在庫評価益の発生もあり、増益を見込み、通期決算の見通しでは、前回予想を上回る上方修正を出光、JXが発表している。
 4~12月の連結経常利益をみると、コスモは513億円で399億円の増、うち石油事業は241億円(前年は83億円の赤字)で314億円の増となっている。JXの石油精製販売は1199億円で558億円の増、出光は858億円で612億円の増、うち石油事業は572億円で415億円の増となっている。その他、石油開発業事業も原油価格の高騰で利益を確保している。
 各社とも大幅な増益となっているが、増益の要因は、経費の節約、合理化効果をあげており、とくに石油製品のマージン改善をあげている。
 原油価格は期初の4月は80ドル/バーレル台であったが、5月以降は70ドル台に下落、10月から80ドル台で推移、12月末は90ドル台となったが上期での下落が年末の値上がりで相殺され、在庫評価への影響は小幅となった。そのため増益の要因は、石油製品のマージン改善が寄与したことになる。石油製品の内需は、マイナスを見込んでいたが、猛暑と厳冬で微増となったことも好材料となった。これに対して、各社は需要に見合った生産で対応、石油製品の輸出にも取り組んだ結果、需給はバランスを保ち、業転市況も堅調に推移した。業転市況が堅調に推移したことで、業転市況に連動する仕切価格がマージンを確保できる水準で推移したため、元売サイドは増益となった。
 さらに各社の減産対応が定着したことがあげられる。設備能力の削減を実施したが、エネルギー供給高度化法の施行で重質分解装備率の目標が設定され、エネ庁に計画を提出したこともあり、各社の過剰設備に対する取り組みが具体化され、減産による需給調整の効果が発揮された。
 また、各社は仕切価格の見直しを実施した。コスモ石油が昨年4月から実施、これに追随して各社が6~7月にかけてブランド料の引き上げ、タイムラグの短縮などの体系を見直した。この結果、元売のマージンが増加することになり、この仕切価格の改定が増益と結びついたことになる。
 仕切価格は業転市況に連動するため、元売も需給調整に取組み、業転市況を注視する対応をみせている。別の見方をすれば、元売の業績は業転市況が決めることになる。業転市況を堅調に維持するには、需給をタイトにすることがポイントとなる。原油価格、為替コスト変動に応じた業転市況が形成されてきた。販売業者からは、元売のみ利益が確保できるシステムであるとの反発は残っているが、実際のところは定着してきた。
 元売は、今後の1月~3月期も需給がタイトで市況が維持でき、マージンが確保されるとみて、3月期決算は増益を見込み上方修正となったものである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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