日刊ニュース

2011.02.08 のニュース

トリガー条項への事前準備

ガソリン価格の異常な高騰時に適用する「課税停止制度」。指標となるガソリン小売価格の平均が3ヵ月連続してリットル160円を超えた場合、揮発油税の本則税率を上回る部分の課税措置を停止。25.1円が減税される。その後、同様に3ヵ月連続して価格が130円を下回って推移すれば元の税率水準に戻す。25.1円が増税される。
 原油が100ドルに迫る高騰モードとなる中で、このガソリン税のトリガー条項の発動がちらつき始めた。無策無為でSSのみが被災した08年4月の暫定税率期限切れの際とは異なり、昨年1月にガソリンの「税還付」体系が整えられているから、実害は相当、軽減されるが、ユーザーの買い控え、買い溜めなどの小売市場での需給混乱が生じることは確実で、引き金が引かれないに越したことはない。
 原油相場とガソリン小売価格の近況を検証してみる。100ドル原油は、現在の為替ではほぼリットル52円。それに対して、指標となっている総務省副都市ガソリン小売価格調査の平均は、12月時点で133.4円。石油情報センター調査の近況は、12月時点よりも4.9円高となっているから、ガソリン近況は138円前後と想定できる。
 引き金が引かれる160円に対しては、まだ20円以上の余地が残る。この余地には消費税が含まれているから、仮に20円として現在の為替換算すると、約38ドルとなる。
 ただし、現在のガソリン製品市況は、卸は元売にとっての採算割れの独歩安市況となっており、SS小売側にも転嫁不足と言う残債が積み上がったままだ。採算割れと残債は、自己責任の下で、可及的速やかに処理する必要がある。08年に上昇過程で100ドルに達した際のガソリン小売価格は、あの暫定期限切れの直前の153円と記されている。為替を勘案して、原油52円時代の07年7~9月のガソリン小売価格は141~4円だった。このレベルと現在の自SSの差額が、採算割れと残債に相当する。
 ガソリン高騰は、原油高に起因するとはいえ、家計を傷めることになるから、節約モードのスイッチが入る。さらに、社会全体に多大なストレスを与えることとなり、その矛先はSS店頭へ向かう。お客様と社会の厳しい視線に耐え得るよう、残債整理は早めに、事前に、きちんと済ませてしまうことが肝要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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