日刊ニュース

2011.02.09 のニュース

石油 需要増加は一過性 ―23年度は反動で大幅減少の見通し―

 石油統計速報によると平成22年(1~12月)の燃料油販売は1億9667億KLで前年比で1.6%の増となった。22年度は販売減が続き、当初計画では前年比で4.2%減が見込されていたが、久し振りの増加である。
 増加の要因は、景気が回復しつつあるのと、猛暑、厳冬の影響でガソリン、電力用C重油が増販となったことがあげられる。天候が味方した増販で一過性のものであり、今後はマイナスとなる。油種別でみるとガソリンは1.4%増、ナフサは6.5%増、ジェットが1.7%増、灯油は0.7%増、軽油は1.7%増となった。A重油、C重油は各4%減となった。C重油は電力用が増加したが一般用が減少したため減少となった。ガソリン、軽油などが増加したため、白油ではプラス、黒油はマイナスというパターンとなっている。ナフサは販売が増加したが、石油化学の原料用であり、大半が輸入で供給をカバーしているため、同じ石油製品ではあるが、石油業界が国産で供給する数量は前年比横ばいとなっているため影響はない。
 また、22年4~12月の9ヵ月累計は、燃料油計では1.2%増となっており、油種別ではA重油のみがマイナスであるが、他油種はプラスである。猛暑と厳冬の影響を受けてC重油は3.9%の増となり、ガソリンは1.9%、灯油も1.8%、軽油も2%増となっている。
 今年1月は寒波到来で灯油、電力用C重油が増加しているため、燃料油全体でも増販となっている。残る2~3月が冷え込めば、22年度でも増加となりそうである。22年販売は1.6%増の微増、22年度もプラスになりそうであるが、一過性のものとみられ、23年度以降となると、再度マイナスとなる。エネ庁が策定した22年度の向こう5ヵ年の計画では、燃料油は年率3.5%減のマイナスを見込んでいる。
 これから23年度の見通しを策定するための検討に入るが、景気回復を期待するものの、今年4月以降販売がプラスとなる材料は見当たらない。ガソリンは、人口の減少、省燃費車の増加、若者の車離れからみて増販は期待できない。軽油は貨物輸送の伸び悩み、灯油、A、C重油は燃料転換がさらに進むことになる。天候も猛暑、厳冬が続くと考えることは難しく、気温も平年並みとみて内需を想定すれば前年比では減少となる。
 また、22年度が増加となるため、その反動で23年度は減少が大幅となりそうである。減少幅が緩やかに推移するのか大幅になるのかは、今後の景気動向と原油価格の動きにかかってくる。
 原油価格は足元のWTIで約90ドル/バーレル、中東物が94~95ドル、ブレントが100ドル台で推移しているが、WTIが100ドルを超えると、石油製品価格が値上がり、販売減が心配されている。他の物価が値上がり、社会問題に発展すると政府も価格動向を注視することになる。
 08年の夏場のような原油価格の急騰で7月にWTIで145ドルになったケースもあり、当時と同じ値動きをみせているため予断を許さない。だが、為替が81円/ドルと円高であるため、今のところ物価への影響は少ない。ガソリン価格は値上がりしても138円/Lであるため、今のところユーザーの反発は少ないが、これが150円になれば高値感から節約が浸透する。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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