日刊ニュース

2011.02.10 のニュース

石油にのみ不条理な仕組み

電力は原子力を主軸に、「自然エネルギー」というフィルターを被され風力とともに一般世帯からも太陽光などを買い取る。しかも48円で仕入れて30円以下で売るという採算割れの図式で。東京電力の場合は48円で仕入れて22~27円前後で売るという構図になる。これではビジネスとして成立不可能であるから、全契約者に対して約0.3円の太陽光サーチャージの意味合いの「料金上乗せ」を行ってしのぐ。
 燃料油という世界に、「非化石」というフィルターを施すと、バイオ燃料がその解になる。ところが、そのバイオ燃料の世界には、農林業に軸を置く穀物事業者あり、プラントを軸とする装置産業あり、穀物輸入を手がける総合商社と、すでに多くの産業がある。これまでは垣根の向こう側にいた「非化石」燃料油産業と石油産業の付き合いが始まる。
 このように見てみると、太陽光と電力会社の関係融合には備わっているが、バイオと燃料油には備わっていない仕組みが、明らかに存在することがわかる。それは行政による支援であり、その仕組みである。
 近未来のエネルギーは、石油を主軸としながら、自然エネルギーと水素にも軸足を置く「非化石」のウ工イトが飛躍的に高まる方向だ。産業界では、エネルギーの垣根が低くなる方向、融合する方向にあるが、東電を筆頭にする電力勢は、1円のロスなしに価格転嫁できる仕組みを有しているのに対して、石油は原価高騰に際しては自助努力に委ねられたままだ。東ガスなど都市ガス会社も電力と同様な行政アシストの仕組みを有する。これに地域独占という最強の権益を施され、電力や都市ガフが手厚い庇護の下に置かれているのに対して、石油が冷遇されている事実は、いち早く石油液化ガス=LPガスに生じている。
 LPガスの国内価格指標はサウジアラビアCP(コントラクト・プライス)による。そのCPが原油以上に高騰している影響で、実はLPガス小売価格は、すでに原油バーレル150ドル時代の再来となっており、近況は08年夏場以来の高値の域に達している。オール電化の攻勢にさらされ、卸も小売も転嫁不足を抱え、それが拡大する脅威にさらされている。
 JX、出光、コスモ、東燃ゼネラル、昭和シェルの上場5社の時価総額計は2兆8千億円。東電は3兆3千億円。オール石油の価値が、電力1位に劣る構図が象徴している。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE