日刊ニュース

2011.02.14 のニュース

灯油の減販・下落を想定 ―ガソリンでマージン確保ヘ―

寒波が続いており、灯油販売は低在庫で需給もタイトで推移している。供給不足が見込まれ、元売各科は増産、輸出の抑制、緊急輸入で対応しており、玉繰りには苦慮しているが、供給数量は確保されている。
 国内の供給は、内航タンカーの運航に支障がなければ確保されそうである。大雪などで海が荒れてタンカーの運航が難しくなると、国内の供給に支障が生じる。一時はタンカー不足もあったが、最近は解消されている。
 灯油の需給はタイトで推移しており、先物、業転市況も65~6円/Lと堅調に維持されている。ガソリンに比べると5~6円高となっており、元売はマージンを確保している。末端市況の値上がりで、販売業者も今シーズンは利益を確保している。今冬の灯油商戦は元売、販売業者にとって業績に向上に寄与したことになる。シーズンは、あと1ヵ月を残すのみとなるが、ここまでくれば市況は維持されそうである。天候次第であるため、まだ予断を許さないが、シーズン終了直前で安値攻勢をかけることはないとみられる。
 灯油は、シーズン終了に近づけば、一気に販売減となり、市場原理で値下がりする。例年のパターンであり、予想されるところであるが、灯油値下がりを見込んで、ガソリン市況を値上げすることになる。これからはガソリン値上げが最大のテーマとなる。
 元売は仕切価格の実質値上げを狙うが、市場連動制を導入しているため、それには、先物、業転市況を値上げすることが先決となる。
 今後の原油価格、為替の動向にもよるが、ともに横ばいで推移した場合に業転市況を値上げすることは難しい。だが、需要期に入れば荷動きも活発化するため、需給をタイトにして値上げすることになる。
 原油価格が値上がり局面になれば、コスト増加分に灯油などの値下がり分を加算して、ガソリンを他油種と比べて大幅に値上げする。
 原油価格が値下がりした場合は、ガソリンの値下げ幅を抑えることで、マージンを確保することになる。
 いずれにしても、現在の「ガソリン安の灯油高」という価格体系を逆の「ガソリン高の灯油安」に変更することになる。灯油の販売は暖房用の需要がなくなると大幅に減少するため、3月頃には値下がりする。これに代わってガソリンが需要期に入り、増販が見込まれ主役が交代する。
 ガソリンは3月から需要期に入り増販になるが、これは2月との比較であり、前年に比べると減少する。これから平成23年度の需要見通しの検討に入るが、今年4月からの見通しとなるとマイナスとなる。22年の暦年でみるとガソリンは猛暑の影響で1.4%増となっており、4~12月の累計でも1.9%の増となっている。22年度でも増加が見込まれているため、その反動で23年度はマイナスが予想される。省燃費車の普及、人口の減少でプラス材料は見当たらない。さらにガソリン価格が値上がると消費節約となる。
 ガソリン販売は3月の春休み、行楽シーズンに入ると増販が見込まれ、4月末からのゴールデンウィークと需要期が続くことになる。この時期にガソリンのマージンが確保される市況が形成されることが、23年度の業績をみるポイントとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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