2011.02.15 のニュース
ガソリン独歩安の非は元売に
全国的にガソリン小売価格の軟化を伝える情報が多くなった。一方で原油相場は、米国WTI原油のみ独歩安ではあっても、相変わらず100ドル近辺にある。日本の原油コストベースとなる中東産指標は、08年9月以来の高値にあり、昨日の10日には、最近の高値を更新する98ドル台まで上昇した。
この2~3週間に起こったガゾリン業転安は、この原油に連動したわけではなく、製品輸入コストに連動したわけでもない。外資系元売の系列外公式価格が引き下げられたことを、ほぼそのままコピーした業転市場の存在がある。
週決め仕切りが08年10月の旧フォーミュラであれば、系列仕切りも、業転連動はほぼこれにスライドするから、不公平感は少ないが、今回、西日本と東日本で格差が生じたように、西日本の系列SSの多くは、前週比で0.5円の系列高を背負うこととなった。業転・系列格差の拡大が生じたのである。
激戦地では、競争力を増したPB-SSが早速、反転安値を掲示した。それでも地域の系列有力SSの多くは、元売が背負っている原油コストの重量を見て、原油高・仕切高の過程で膨らんだ、自らの出血量を見て、価格下落を防御しようとしている。
そもそも原油高の過程でガソリン業転の独歩安が生じたのは、アジア安ではなかったのだから、国内需給が緩んでいる、という事情に他ならない。1.5円もの海上高・陸上安が生じているのは、販売量が弱く在庫圧力が強い、という証拠だ。灯油を筆頭に、中間3品の卸指標を見れば、明々白々であろう。
需給は元売の収益の生命線であるにもかかわらず、ガソリンの国内生産量は、輸出に振り向けられるわけでもなく、この3週間連続して前年オーバーとなっている。販売量を上回る生産が続いている。必然的に在庫は積み上がることとなり、卸市場で生じるシグナルは、バーゲンセールを行って数量を捌け、となる。それが元売の本意でなくとも、市場ではそのように解釈されるのだ。
系列SSを苦しめる根幹に、元売によるガソリン生産過剰があるのだから、まずそこを正すべきである。国内業転として系列に不利益を生じさせるくらいなら、海外へ仕向けるべきであろう。さらに、系列に対して不愉快な問題を露呈している現在の仕切りフォーミュラこそを、早急に正すべきであろう。