日刊ニュース

2011.02.17 のニュース

倒産は経営者の責任放棄である

 石油協会の信用保証事業は中小企業が圧倒的多数を占める石油販売業者の金融支援制度として33年前にスタートした。当初は特別金利による利用促進キャンペーンが行われたりしたが、規制緩和や原油高騰を受けて、基金の積み増し、時宜に適った制度の変更、原油高騰に対応したセーフティーネット保証、さらに離島・過疎地向け資金融資の創設などが行われ、石油販売業者による、販売業者のための金融支援制度として定着、石油販売業界の“金融の砦”として広く認識されている。
 信用保証制度にとって最大の懸念は利用企業の経営破綻で、石油協会の信用保証事業では制度開始以来、その数が1200件を超え、金額も136億円に達している。石油販売業界の疲弊を如実に示す数字だ。石油協会はこのほど、個々の破綻事例を解析、その要因を整理するとともに破綻回避のためのアドバイスを取りまとめ、本紙を通じて紹介した。
 破綻類型で最も多かったのは全体の7割以上を占めた「売上減少」。競争が激化する中で、価格対応力の劣るSSが減販とマージンの急速な低下というWパンチを受けて相次いで倒産した。6万ヵ所超という史上最多のSS数をもって規制緩和に突入し、事後調整が縮小から廃止に向かいながらも、価格競争の泥沼から出られず、そして、セルフSSの登場が競争に拍車をかけた。死屍累々という形容がふさわしい惨状だ。
 「売上減少」以外の要因としては、派手な生活を続けたり、高利の借り入れなど、モラルハザードが招いた「放漫経営」、不確かな将来予測のもと事業拡大に進んだ「過剰設備投資」、ノウハウもないまま安易に異業種に進出しての「兼業失敗」がある。これらは経営者自身が招いた破綻だ。このほか、兼業の業績悪化による「連鎖倒産」や「不良債権」は多少の同情の余地があるとしても、やはり経営者の資質は間われざるを得ない。
 企業の破綻は経営者の家族だけでなく、最大の責務である雇用の放棄を意味し、従業員とその家族の生活をも奪う。石油販売業の縮小は社会的なインフラであるSSネットワークの維持すら困難にしかねず、すでに中山間地を中心にSS過疎地を出現するに至っている。
 地域の雇用維持、石油製品の安定供給が使命であるなら、経営者がなすべきことは企業存続に向けての不断の努力しかない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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