日刊ニュース

2011.02.18 のニュース

予算・関連法案で与野党対 ―石油石炭税の増税も微妙に―

 与野党の対立で来年度予算案、予算関連法案の密議の行方が注目されており、混迷が必至の情勢となっている。参議院では野党が多数のねじれ国会となっているため、予算は通過するものの予算関連法案は不成カとなる公算が強い。政府与党は、野党に協力を求めて、個別の法案ごとに審議して成立を狙うが、野党が受け入れるか否かは不透明である。3月末までには時間的な余裕もなく、このまま対立が続き調整が難航して政治空白が続くと、景気、株価への影響も心配されている。
 今国会での石油関係の法案としては、予算関連法の石油石炭税の増税、鉱業法の改正、温暖化対策基本法などがある。石油石炭税の増税は、段階的に引き上げるが、まずは、10月から250円/KL(25銭/L)の増税となる。この増税の見返りとして経産省では石油業界に対して50億円の追加予算を計上しており、この予算の執行ができなくなる。
 石油石炭税の増税は、政府の環境税構想が名前を変えて提示されたもので、石油業界ではもともと反対の立場にあったものである。この増税が見送りとなっても大きな影響はなく、むしろ歓迎している。しかし、予算執行を見込んで計画を予定してるケースでは影響が出る。
 この小幅な増税は、ユーザーに転嫁することは不可能であり、結局は石油業界が負担することになる。石油業界では元売と販売業者で分け合うことになるが、最終的には、力関係からみて販売業者が負担することになりそうである。元売は仕切価格に増税分を加算して販売業者に請求することになり、この時点で増税分を回収する。販売業者は増税分を10月1日からユーザーに転嫁することになるが、仕切価格が毎週改定されている状況下では、25銭/Lの増税分を転嫁することは不可能である。実際の商取引でのガソリンなど販売価格の単価は円単位であるため、仮に1円値上げすると便乗値上げとなる。いずれにしても増税分を転嫁することは不可能であり、販売業者も政府に転嫁策を提示すべきと要求しているが、これも難しい。政府も石油業界の広く、浅く、公平に、という要求を受け入れたことになっており、この増税分の転嫁策は水掛論で終わりとなる。石油業界としては、見送りとなることは歓迎しているが、増税がどう決着するかは、今のところ分からない。
 鉱業法の改正は、60年ぶりの改正であり、日本の海域に海外からの調査船が入りいろいろな調査を実施しているが、国内法である鉱業法では現制する項目がなく野放しの状況にあるため、鉱業法を改正することで現制するものである。この改正には野党の自民党も反対しないと見られている。
 改正点は、①鉱区の取得は規程の先願制を改めて入札制にする、②鉱区取得者の資格に要件(技術能力、経理的基準)を設ける、③資源探査にも事前許可の規制を設け、資料報告を求める、などとなっている。
 この改正では与野党の対立はないが、予算案などの扱いで一括審議の対象となり、取引き材料となり先送りとなる公算もある。温暖化対策基本法となると、前国会でも見送りとなっており、成立する見通しは立っていない。政府にとっては厳しい状況にある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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