日刊ニュース

2011.02.22 のニュース

灯油復権の知恵を絞り出そう 

灯油復権に向けた取り組みが勢いづいてきた。全石連灯油販売プロジェクトチームは来シーズンに向け、灯油の経済性と石油機器の安全性向上をアピールする統一チラシの作成を検討する。福島では、経済性と環境性能を兼ね備えた灯油に対する理解促進を図るためのチラシや解説を用意している。電気・ガス両業界が暖房需要の取り込み競争を繰り広げる中、石油も負けてはいられない。
 電気・ガスは暖房用途に限らず、通年利用される。一方、灯油は冬場以外のシーズンが弱みだ。給湯に利用している世帯は、それほど多くはない。環境対応と銘打った行政主導による脱石油・エネルギー転換、08年の原油高値が追い討ちとなり、都市部では灯油離れが進んだ。フルSS要員のミニマム化で灯油配達にまで手が回らなくなったこと、セルフSS化に伴い配達をやめるSSが拡大したことも影響している。このような状況の多くが、寒冷地にも波及した。ガソリン過当競争・油外不振などSSの苦境と灯油の減販が、少なからず相関していることは明らかである。
 さらに、老朽地下タンクの改善・改修対応まで義務付けられた。なんとも周辺環境は厳しいが、各地で反転攻勢の機運が高まり始めたことは心強く、その動きに乗じていきたい。あきらめムードを払拭し、自らの努力で需要を取り戻したり開拓していく姿勢が期待される。SSの業績も同時進行で回復させる必要がある。
 いま心配なのは、原油高や在庫薄などから灯油の卸価格が高止まりしていることだ。どんなに灯油の経済性・効率性を謳っても、消費者への訴求力が弱まりかねない。寒冷地の販売業者からは、小売価格に転嫁する必要性とユーザーに提供しうる“値ごろ感”との板ばさみ状態を憂う声も聞こえてくる。灯油の秀でた暖房能力が求められ、競合エネルギーと併用している世帯が多いからこその心痛を感じているという。
 エネルギー転換は、自動車分野さも侵食しつつある。国家政策として税制優遇や各種補助などの形で、電気エネルギーの利用が推奨されている現実。電気は家庭で充電できる。灯油が店頭でしか購入できないとなれば、その行く末は想像に難くない。需要づくりに智恵を絞るべき時が来た。石油機器メーカーの本気、消費者の買う気を引き出す原動力は、我々のやる気だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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