日刊ニュース

2010.07.08 のニュース

温暖化対策に呑まれない英知を

 国の新成長戦略の筆頭で「グリーンイノベーション」が掲げられた。今後10年間、必要な政策を全く行わなければ実質成長率は過去10年並みの1%程度にとどまるが、需要重視の政策対応を実行すれば実質2%成長が可能とし、最大需要が存在する分野として“環境”をあげ、2020年までに「50兆円超の環境関連新規市場」「140万人の新規雇用」と目標を置いた。これを実現する環境・エネルギー大国戦略では、今後3年間の実行プランとして再生可能エネルギーの普及拡大・産業化、バイオマスなどの導入目標設定、地球温暖化対策税の導入、国内排出量取引制度の創設などを基本施策に据えている。次世代車の普及促進や燃費基準の強化、ビジネス環境を支える充電インフラ整備などを具体的に進めていく考えだ。
 一方、環境省が4月公表した「環境経済成長ビジョン」。新成長戦略にも引き継がれた温室効果ガス25%削減に向け、重点プロジェクトとして具体的に提案したのが、新しい環境ファイナンスの活用である。家庭・業務・運輸部門は特にCO2排出量の大幅削減が必要とされるが、大臣試案ベースで見込んだ追加必要投資額は約58兆円。だが、家庭や中小企業にとって、多額の初期投資が大きなネックとなる。
 そこで着目したのが「リース」だ。低炭素化に取り組む家庭・中小企業向けの支援策として、EV、太陽光パネル、家庭用燃料電池、ヒートポンプ給湯器などの導入をリース方式で提供・パッケージ化。政府がりース会社の資金調達や利子補給を支援することで、結果的にリース料の引き下げを見込む。意欲的な削減を誓約した企業による工コ設備機器の導入にもリース助成でサポートする。また、“地域活性化対策”としてE3やE10の導入・普及も俎上に乗せた。環境省のロードマップ案は、20年に原油換算で200万KLのバイオ燃料導入を目標とするが、精製元売は供給安定性などに課題があると強く主張している。
 前号で指摘したように、石油の大切さは不変だが、今後は一層、 “環境配慮”がエネルギー政策に付いて回ることは避けられない。しかし、見過ごすだけでは、石油への逆風は強まるばかりだ。他の工ネルギーヘの過度な肩入れがあるようなら、しっかり牽制しなければならない。基幹エネルギーのポジションが揺るがないよう、自らを守るために。

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE