日刊ニュース

2011.02.24 のニュース

灯油本格シーズンは修了 ―原油高騰でガソリン大幅値上げへ―

2月も終わりに近づき、灯油の本格的なシーズンも終了する。寒冷地では3月も冷え込むため、灯油の暖房ストーブは使用するが、暖かい日も続き灯油販売は確実に減少する。大消費地の関東、関西地区での灯油の消費が減少すれば、ヤマ場を終えたことになる。供給不足を心配して緊急輸入、増産で臨んだが、これからは3月末の在庫調整の時期に入る。
 今冬は厳冬となり、販売も好調で推移したのと、在庫も低水準となり需給はタイトで推移したため値取りもでき、まずまずのシーズンとなった。原油価格は昨年10月から値上がり局面となり現在も値上がりが続いているが、コスト増を転嫁することが出来、マージンは確保された。
 原油価格をみると、中東産では昨年8月(平均)が80ドル/バーレルであったものが、11月が84ドル、12月が89ドル、今年1月が96ドル、足元は99ドルと値上がりが続き100ドルに乗った。ここにきて高騰したのは、エジプトの政変の影響で北海原油のブレントが100ドルを超え、これに連動して値上がりしたものである。
 一方、指標原油であるWTIもほぼ同値で12月まで推移していたが、1月になってアメリカの原油在庫が増加したため値下がり、85~86ドルとなった。ブレントとWTIとの価格差が16ドル以上となり異常な状況となっている。ブレントの急騰は、チュニジア、エジプトの政変がリビア、イランなどの周辺国に飛び火するなど、一連の政情不安がその要因である。
 WTIがアメリカ国内の原油在庫高を理由に下落しているが、これもリビアなどの政情不安が緊迫化すると値上がりしそうである。21日はNYMEXが休場であるためWTIの値動きが注目されるが、ブレントは104ドル、中東産は100ドルに乗せている。
 このように、今後も原油価格の値上がりが予想されるが、灯油はシーズンが終了するため、値上げは難しい。仕切価格はシーズン中に10円以上の値上げとなったが、ユーザーには転嫁され、販売業者もマージンを確保した。末端市況は都市部のSS店頭で90円/L、配達で100円相場となっている。石油情報センターの調査価格もSS店頭は86円、配達は92円となっている。先物、業転市況は66~67円で推移しており、ガソリンに比べると5~6円高となっている。
 このような「灯油高のガソリン安」という価格体系も、3月になれば灯油シーズンが終了するため灯油が値下がり「ガソリン高の灯油安に逆転することになる。今後は灯油が減販と値下がりとなるため、ガソリンの値上げが急務となるが、原油価格の高騰が見込まれるため、値上げ幅は大幅なものとなる。
 原油価格の見通しは難しいが、エジプトの政変がイラン、サウジなどの他の中東産油国に直ちに波及することはないとみられるが、原油価格は値上がりすれども値下がりはない、との見方となり高騰しそうである。政府は原油価格の動きを注視しているが、原油価格の供給が途絶することはないとの判断状況にあり、WTIが安値で為替が円高であるため、物価への影響は少ないとみている。だが、リビアなどの政情不安が続くと、原油価格は高騰、ガソリンは160円超え、暫定税率分を減税することになっているが、その状況を想定することも必要となってきた。
   

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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