2011.03.01 のニュース
原油急騰!危機意識を持とう
中東で発生している政情混乱。先週、その波はついにリビアに波及、石油生産にも影響を及ぼしたことから、わが国の原油価格指標のドバイ原油がバーレル110ドルを突破し、2年5ヵ月ぶりの高値となった。
本紙前号で掲載した通り、関全石連会長は先週末、原油急騰に関する緊急コメントを発表した。これは、この原油価格の上昇を反映して、小売市場がきちんと対応しなければならない大事な時であるにもかかわらず、それがなかなか進まないことへの強い危機感とその改善を求めたものである。
原油価格が上昇したら小売価格を速やかに引き上げ、下落したら同じように小売価格も引き下げる。原油高止まりが続く中、元売はそうした価格変化を小売市場に敏感に反映させるべく、週決めや日決めなど仕切り改定の間隔を短縮してきた。
しかし、実際に今回のような小刻みな引き上げが続くと、SS店頭ではどうしても転嫁しきれない分が膨らんでいき、こうした仕切り上昇分の取り残しが、徐々に経営の足を引っ張る。
こうした中で、多くの販売業者がどうしても納得できないのが、価格転嫁の足を引っ張っている市場の混乱である。
元売マークを付けない量販業者による異常な安値は、系列特約店の仕切価格さえも下回るほどである。さらには一部の元売子会社がそうした廉売業者に対抗するかのように追随して、市場混乱はさらに拡大・加速している。
その結果、系列特約店や販売店ほ販売量・小売マージンともに縮小し、市場競争そのものから排除されつつあるのが実態である。精製・元売は、わが国の石油製品の生産と供給のほぼすべてを担っている。にもかかわらず現実に異常な価格の廉売SSが存在する。なにがこれを可能にしているのか。
系列特約店にはそれぞれの仕切価格フォーミュラに沿って卸すが、商社などを経由して流される系列外向けには、ボリュームインセンティブなどの効いた価格が登場する。つまり、旧態依然とした量販志向がこの混乱を引き起こしている。
原油高騰のこの場面で、なんの危機感もなく量販志向の価格競争が続いていることに業界全体が危機意識を持つべきである。市場は整然と「上がったら上げる、下がったら下げる」を機能させなければならない。