日刊ニュース

2011.03.02 のニュース

ガソリン160円超えも予想圏内 ―原油高騰で税金引き下げも検討へ―

原油価格が急騰しており、仕切価格がこれから値上げとなるため、ガソリン価格は160円/L(総務省調査)超えも現実性がおびてきた。「160円超えが3ヵ月続けば暫定税率分相当の25円を引き下げる」ことが租税特別措置法で決まっており、この法的措置が適用されることになるため、元売、販売業者サイドでは万が一に備えて対応を検討をしている。
 政府も、当分の間はガソリンが160円を超えることはないと見ていたが、原油価格が中東産で110ドル台となり、ここまで値上がりすれば、3月初めには140円台に乗せることは確実であり、さらに原油価格が高騰すれば160円にも接近してくる。
 足元のガソリン価格は138円(石油情報センター調査)となっているが、エクソンモービルは3円50銭、出光が3円40銭の値上げを26日から実施、各社も追随したため、販売業者は3月の第1週でユーザー転嫁に取り組み、140円台に乗る。さらに原油価格が値上がりすれば、市況は、あと20円の値上がりで160円相場となる。
 ガソリンの暫定税率は民主党の戦略で08年4月に廃止、同年5月には復活したが、国民も1カ月間のみではあったがガソリンが安くなったことを歓迎した。
 この時の暫定税率廃止では、手持ち在庫を減税するための法的な措置はなく、市況が下落したため、石油業界が負担することになった。暫定税率が復活した際にも直ちに値上げすることが出来ず、また回収も出きなかったため、二重の負担となり、赤字を経験した。
 その後、民主党は暫定税率の廃止などのマニフェストで選挙に勝ち、政権を取ったが、財源不足から暫定税率分を本則税に組み入れたため、税額は変わらず据え置きとした。そのため国民からは実質的に暫定税の廃止ではないと反発が出た。そのため、ガソリンの高値が続いた場合には指標となる価格基準を決めて、これを上回った場合は引き下げるとして、実質的には暫定税率を継続した形で今日に及んでいる。
 最近の原油価格はブレント、中東産が110ドル/バーレル台に急騰、WTIは98ドル程度で100ドルを割っており、価格格差が生じているが、今後も値上げが予想されている。チュニジア、エジプトの政変がリビアにも影響、反体制連動が拡大、混乱が続いており、これが中東産油国に波及することになれば、原油価格の暴騰も予想される。
 このような状況では、投機筋、エコノミスト等が原油価格の高騰をあおることになり、一部では早くも200ドル説まで出ている。過去の最高値は、WTIでみると08年7月11日の取引き中に147ドル、終値ベースでは7月3日に145ドルを記録している。この年の7月平均では133ドルとなっていた。国内のガソリン価格は08年8月に185円の最高値となっている。当時の為替が108円/ドルで現在の82円程度に比べて大幅な円高となっているため、円/L換算すると、原油価格CIF価格は92円となっている。今年2月上旬では49円であり、まだ43円の価格差があるが、東工取の原油先物価格は51~52円となっており、原油CIF価格に石油税(約2円)を加算すると足元のコストは55円となり、さらなる値上がりが見込まれる状況である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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