2011.03.23 のニュース
仕切価格は据え置きで対応 ―未端市況の混乱回避を狙う―
東日本大地震の影響で国内市況も混迷が予想されるが天坊出光会長は「市場連動制の仕切価格の改定はやめることはしないが、仕切価格は据え置きとする」と述べた。原油価格、業転市況は流動的であり、末端市況も混迷が予想されるため、緊急時とみて、仕切価格を前週の据え置きを決めたもの。末端市況の安定化をねらったもの。
原油価格(WTI)は、日本での地震の影響で需要が減少するとみて15日に97ドル/バーレルと4ドル下落して100ドルを割り、為替は79円/ドルの円高となった。しかし、17日にはWTIは101ドルに反発するなど乱高下している。一方、国内の先物、業転市況は値上がりするなど流動的で推移している。
本来ならば仕切価格は、週決めで19日から改定して実施となるところであるが、「据え置き」とすることになったもの。仕切価格は原油価格の高騰で業転市況は値上がり、2月末から連続して値上がり、通算するとガソリンは10円/Lの値上がりとなった。その結果、石油情報センターの週動向調査ではガソリン価格(14日)は149円/Lに値上がりした。2月28日が139円であったため、通算で10円の値上げとなっている。
ここにきて地震の影響でガソリン不足が深刻化、首都圏では、SSが休業するケースが増加している。ユーザーの買いだめが発生したこともあるが、緊急車両への優先供給、6製油所の操業停止、油槽所の稼動低下、道路の混雑で口ーリー輸送が減少した、などの悪条件が重なり供給不足が深刻化してきた。
SSで給油する車が殺到して混乱する状況がTVで放映されることになり、ますます供給不足に拍車がかかった。そのため販売価格の値上がりも予想されることになり、元売としては仕切価格を据え置きすることで末端市況の抑制をはかったことになる。このような緊急時には、便乗値上げが心配されるが石油業界として冷静な対応が求められている。この時期に仕切価格を据え置きとしたことは適切な措置である。
末端のガソリン市況は、まだ未達分が残っているため、若干の値上がりが見込まれている。情報センターの調査も、調査対象のSSが休業しているなど混乱しており、県別の集計はとりやめている。混乱は東北、関東に集中しているが、他の地方にも拡大することが心配される。
ガソリンの供給不足が深刻化しているため、供給確保が優先され、販売価格は二の次となっているが、当然、便乗値上げは避けるべきてある。SSの休業が増加、営業しているSSは数量を制限して販売している。安定した供給体制となるには、若干の時間がかかるためユーザーに買いだめをしないよう理解を求めるしか方策はない。
操業を停止していた6製油所のうち、3か所は近く操業が再開されることになっており、近日中には供給が確保される。マクロでみれば数量的には確保されており、輸送面での問題が解消されれば、末端のSSまで供給され、SSも営業の再開となる。今週中には正常化すると見込まれていることから、あと暫くの辛抱である。電力の復旧は、遅れるが、石油の供給は段階的であるが目安がついてきた。