日刊ニュース

2011.03.24 のニュース

製油所の操業再開で供給確保 ―輸送面での復旧も進む―

 東日本大地震の影響で6製油所(約140万バーレル/日)が操業を停止していたが、うちJX根岸(精製能力は27万バーレル/日)、極東石油(17.5万バーレル/日)、東燃・川崎(33.5万バーレル/日)の計約78万バーレル/日が操業を再開した。この結果、輸送面での問題は残るが、国内全体の供給数量は確保されることになった。残るはJX仙台(14.5万/日)、JX系の鹿島(23.3万バーレル/日)、コスモ千葉(22万バーレル/日)の3製油所の計62万バーレル/日が操業を停止しているが、増産、製品の輸入拡大などで対応することになり緊急時を脱したことになる。
 現在の精製能力は452万バーレル/日あるが140万バーレル/日が操業を停止したため一時は312バーレル/日と減少した。だが、78万バーレル/日が回復したため390万バーレル/日となり、足元の原油処理量が395万バーレル/日であるため、ほぼ同水準となる。稼動率は現在90%程度であり、設備能力に余力もあり処理アップによる増産も可能である。さらに製品輸入の拡大、輸出を抑えることで供給は増加する。また、石油各社の民間備蓄義務数量が3日分軽減されることになり、各社の製品在庫を減少させてもよいことになった。そのため、取り崩し分が市場に払い出されるかめ供給が増加することになる。
 このようにマクロでみれば供給が増加するため、供給不足が解消されたことになる。だが、輸送手段である内航タンカー、ローリー輸送で支障が生じており、まだ流通段階では混乱が続くものとみられる。依然として3製油所の操業は停止されているのと、停止が長期化することは必至であるため、供給が安定するにはかなりの時間がかかりそうである。油槽所もタンカー受入設備、出荷設備の復旧がポイントとなる。
 流通(SS)段階での混乱が続いているが、これはローリー輸送が一部で停止しているためである。被災地やその周辺地区では道路が寸断されており、ローリー輸送ができず、石油製品の供給が難しくなっているためで、早急な道路整備を待つことになる。
 それでも製油所が操業を再開したことで供給不足が解消されるとの見通しが出てきた。このことから販売業者、ユーザーにも安心感が出ており落ち着きをみせている。しかし、SSでは売り切れのため休業しているところもあり、輸送面が復旧しないとSS店頭でのガソリン、軽油不足は解消しない。この3連休(19~
21日)で車の利用が減少したことが幸いしたが、これから平常日に戻り経済活動も再開となるため、まだ予断を許さない。
 今回の大混乱は、今まで経験したことのない巨大地震であり、製油所の火災発生もあったが、大消費地の関東や東北の太平洋側が被災地となったことが、大きく影響した。石油業界では大手で圧倒的なシェアを持つJXの3製油所(仙台、鹿島、根岸が操業を停止したのと、SS数(販売)のシェアが高いこともあり、ここでのガソリンが供給不足となった。そのため、一気にガソリン不足が伝わった。ユーザーの買いだめもあったが、JX系のSSのシェアが多い都心部、特定の地区が目立ったが、ここにきて供給不足が解消されそうである。ユーザーの買いだめが自粛されれば、この難関も乗り切れそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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