2011.03.25 のニュース
製油所再開、輸送力も増加 ―SSの営業数日中には平常に―
経産省は22日、東北地方・関東圏でのガソリン、軽油等の供給確保状況をまとめたが「東燃・川崎、極東・千葉、JX根岸の3製油所が再開したこともあり、マクロでは供給が確保された」としている。今後は西日本から東北地方、関東圏への内航タンカー、ローリーでの輸送により石油製品が増加することがカギとなるが、ここ数日中にもSSでの営業が再開され、ガソリン、軽油、灯油の不足は解消されそうである。
3製油所の操業再開で関東から北関東への供給は正常化されてきた。根岸から宇都宮までのタンク車輸送が21日から開始され、22日には盛岡までガソリン等(約1300KL)を輸送した、などの新しい動きも出てきた。
加えて民間備蓄義務量を前回の3日分の引き下げから、さらに22日分を追加して引き下げ、合わせて25日分を引き下げる。この結果、民間備蓄日数は初日から45日分に引き下げられる。民間備蓄の引き下げは、元売の石油製品備蓄取り崩しを認めるもので、在庫の減少分が市場に出回ることになる。
一時的には需給が緩和されることになるが、これが長期にわたると低在庫が長く続き、需給がタイトとなり、製品不足となることも予想されるため、緊急時の短期的な措置である。経産省も製油所の再開で供給が確保される目安がついたことから、在庫の取り崩しを認めることになったもの。地震で6製油所が操業を停止して約140万バーレル/日の原油処理ができなくなったが、うち3製油所の再開で78万バーレル/日が復旧することになり、合計で390万バーレル/日が稼動することになった。震災前と同じ水準の操業規模を確保したことになる。残る3製油所は火災が発生したこともあり回復には時間がかかるが、マクロでみると需要をカバーできることになるため供給は確保されることになる。
今後は被災地の東北地区、関東圏にいかに円滑に供給できるかが課題となるが、内航タンカー、ローリーによる輸送の円滑化にかかってくる。太平洋側の八戸、塩釜油槽所が再開したことで入荷、出荷が可能となったことも、被害地への供給確保には大きな役目を果たすことになった。さらにフル稼働による増産も可能であり、製品輸入の拡大と輸出を抑えることで供給数量は増加する。これから不需要期に入るのと、操業中の設備にも余力があり、増産が可能となっている。
石油業界では、需要が減少して設備が約100万バーレル/日が過剰であり、設備処理をエネルギー高度化法で実施中であっただけに、急遽、増産も可能となっている。設備処理では精製設備を廃棄せずに能力のみを削減している製油所もあり、この場合は、即能力をアップすることが可能となる。そのため稼働率のアップで大幅な増産となり、過剰設備が、操業を停止した製油所の減産分をカバーすることになった。
例年だと来年度の石油製品の需要見通しを策定する時期であるが、この大地震の影響で見通しも困難となっている。現在は供給確保が第一であるが、混乱が落ち着くと、石油製品の需要減は必至であるため、厳しい現実に直面する。福島第一、第二原発の操業停止で石油火カヘのシフトからC重油の供給要請が出ているが、石油製品の需給バランスの崩れも間題となってくる。