2011.03.29 のニュース
ガソリン150円相場を形成 ―原油高騰分を反映した適性水準―
東日本大震災後、ガソリンが供給不足となり、末端市況の動向が注日されたが、石油情報センターの週動向調査(22日)では、151円/Lで前週の149円に比べ2円の値上がりとなった。経産局別でみても150~153円となり、150円相場となってきた。高値は被災地の東北で153円となり、前週比で5円、関東は152円で3円、四国は151円で6円の各値上がりとなった。
値上がりは予想されたが、元売の仕切価格は据え置きとなっており、便乗値上げが心配されたが、適正な水準とみられている。末端市況は値上がりとなったが、全国平均で2円値上がりの150円台乗せは、今までの未達分を加算したものと説明がつく。ガソリンの供給不足を理由とした便乗値上げではないかとの見方もあるが、150円相場であれば什切価格(約130円、消費税含まず)からみると妥当な水準となる。
ガソリンの仕切価格は、原油価格の高騰で2月下旬から連続して値上げとなり、通算で11円程度の値上げとなっている。情報センター調査でも、2月末の139円から12円値上がりの151円となっている。
経産省が22日に開いた東北地方太平洋沖地震中小企業対策連絡本部の会合で、北秋田市の商工会から「旧郡部の一部でガソリンが200円で販売された情報があり、便乗値上げと懸念される向きもある。15日はSSがほとんど営業していない。」との報告もあった。だが、今のところ便乗値上げという声は出ていない。
ローリーが津波で失われ、ガソリン不足が東北に発生することは予測されたが、その影響が一気に首都圏に及ぶとは想定外であり、混乱に拍車がかかった。ガソリン不足でSSにユーザーが殺到し、給油をめぐってのトラブル発生は運送業者としては死活問題であり、SSを営業するにも危険となる異常な事態となった。このような混乱時には価格よりも供給確保が優先となるため、値上がりとなったと想定される。
また、地震の発生(11日)と、原油価格の値上がりに伴う仕切価格の大幅な値上がりが重なったことが、地震によるガソリンの値上がりと混同される結果となった。原油価格は2月に入って急騰しており、エジプト、リビアの内乱の影響でブレントが急騰、これに連動して中東産が110ドル/バーレル台に値上がりした。しかし、WTIは、アメリカの原油在庫の増加で逆に値下がり、ブレントとの間で15ドルも価格差がつくという異常な状況となった。原油価格はWTIが指標となっているため、中東産の値上がりが一般には伝わらず、元売サイドは、原油価格の値上がりに伴うコスト増の転嫁に苦慮した。とくにガソリンは供給増となり、値上げが難しい状況が続いた。2月末になって仕切価格の値上げが本格化し、3週連続の値上げとなり、販売業者がユーザー転嫁に取り組んでいる最中に大地震と遭遇することになった。仕切価格の値上げ分を完全に転嫁しないうちに地震となったため、未達分を転嫁することになり、22日の週動向調査では値上がりとなったもの。そのためガソリンの値上がりは地震による供給不足が背景にあるとの受け止め方も出たが、今回の値上がりは原油価格の値上がり分であることをユーザーによく説明して、理解を得ることが大切である。