2011.04.22 のニュース
23年度需要見通し策定は遅れる ―ガソリン減販で供給増が心配―
ガソリンの販売減少が心配されている。東日本大震災は東北地方の経済に大きな打撃を与えた。今後の景気予測では大幅なマイナスとなっている。ガソリンの需要となると、不況の影響、節約、レジャーの自粛などで減少する。加えてガソリン価格が150円相場となり、高値感から車の利用が減少しそうである。
例年、3月末には平成23年度から向こう5ヵ年の需要見通しを策定するところであるが、経済全体の見通しが難しく作業は中断している。22年度は猛暑と厳冬で増販となった。22年4月~23年2月の11ヵ月累計では、ガソリン販売は1.7%増(22年度見通しは3%減)、灯油は1.5%増(5.2%減)、軽油は2%増(3%減)、燃料油は0.9%増(4.2%減)で見通しを上回っており、このまま3月も好調で推移するものとみられていた。だが、3月11日に東日本大震災が発生したため、この予測は一気に崩れることになった。
震災後の大混乱は現在も続いており、福島原発の復旧の見通しもつかず、被災地が復興するまでは何年かかるのか、現時点では予測が不可能である。
石油業界では、震災後の供給不足による混乱が解消され、供給面では正常化してきたとしており、当面の需給はバランスを保つとしているものの、今後の見通しを策定する状況にはない。被災地の最先端でのSS空白地区には、仮設のミニSSを設置することで対応している。復興に向けた建設機械、トラック向けの特需として軽油、A重油、自家発電用の中間留分、重油などが増販となるが、震災による経済活動の停止・停滞によるマイナス分をカバーすることは到底できない。
被災地では多くの車が津波で流されたため車を買い求めることになるが、新車でなく小型の中古車の需要が多く、中古車市場は値上がりしている。被災にあって車をなくしたためゼロからの出発とみれば、これから中古車が稼動することで需要は回復するが、ガソリン販売が従来の水準に戻ることは難しい。
東北地方の経済成長はマイナスとなるが、その影饗は全国に波及することになる。関東地区で予想された夏場の計画停電は回避されそうだが、電力の節約により工場の稼動率が落ちることは確実であり、東北地区には自動車の部品工場も多く、操業停止で自動車の生産減となるなど、今後への影饗は必至である。
このように経済の見通しが困難な状況にあるため、石油製品の需要見通しの策定は難しく、各社とも自社の判断で需要を想定して生産に取り組んでいる。供給不足による混乱は4月中旬で解消されており、需要の実態をみながらの生産対応となっている。地震発生後、各製油所はフル生産で対応したが、ここにきて供給増も心配されてきた。ガソリンは減販と供給増によって末端市況に下落傾向がみられる。また、原油価格の高騰で仕切価格は連続して値上げとなっているが、ユーザー転嫁ができるか否か、早くも正念場を迎えている。これから連休商戦のヤマ場を迎えるが、本来ならば、一年間で一番ガソリンの販売数量が見込まれる時期であり、販売数量、市況動向が注目される。連休の動向が今年のガソリンの需要見通しを決めることになりそうである。