日刊ニュース

2011.05.09 のニュース

実勢と虚勢の「卸」真偽

原油は世界3大指標ともに2年7ヵ月ぶりの高値にあり、近況は一段高。為替はやや円高ドル安にあるとはいえ、円建てでも高値持続という表現になる。原油相場から下げシグナルは見えてこない。
 国内製品卸市場では、先週末に現物は1~2円の上昇が起こり、2008年10月中旬以来の高値を記録した。先物の最期近6月限も2日には25日の5月限納会値を3.1円上回り、なお上昇基調にある。製品輸入相場は国内よりも、なお4円ほど上方にあり、大幅な国内安・アジア高が出現している。ガソリン卸相場のどこを見ても、やはり下げシグナルは見えてこない。
 ところが関東広域に最も影響力の大きいホームセンター系PB-7SSが、GW序盤戦から3円下げ小売価格を出現させた。この背景にあるものを、我々、中小SSは徹底的に究明しなければならない。それが、当該企業の企業努力というのなら、いまこそ被災SS当事者は不当廉売調査を当局に試みるべきである。
 ガソリン卸価格を取り巻く唯一の下げシグナルとは、恐るべきスピードで積み上がってきている製品在庫量であり、需給緩和である。そこで勘繰りたくなるのが、業転指標レス、という卸価格の提示だ。
 為替の場合、インフレ・通貨供給量の増大など、国力が低下するなどして公定レートの神通力が低下すると、それは虚勢となり、市場は実勢レートが優勢になる。これと同様のことが、起こり始めている気配がある。
 多数の企業が参加する市場において、全体として需給が緩和基調になっているとしても、企業個々では温度差がある。猛烈に在庫の過剰感が高くなっている企業と、そうでない企業が混在し、平均像として過剰という市場になる。これは系列ルートで売る力の強弱とも関係している。
 過剰感の大きな企業が、とにかく捌きたい、回転させたい、という欲求を起こす場合、指標レスという形態が起こる。
 PBが3円下げた理由が不当廉売でないのなら、この3円レスにつながる源泉がある。3円レスで合意したメーカー、一次卸の存在がある。
 過剰があるのなら、手間ひまを惜しまずに、精製元売はそれを全量、海外へ振り向けるべきである。手っ取り早く捌く手法は、系列に対する背信行為である。

提供元:全国石油商業組合連合会
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