日刊ニュース

2011.05.16 のニュース

系列が毀損する現ガソリン需給

 在庫影響を除いて出光は1181億円、コスモは1002億円、JXに至っては合併前2社合計に対して3700億円もの良化。当初見通しの通り、絶好調決算のオンパレードとなった3月期大手3元売。その真水の業績は計5900億円の良化を果たした。12月期2元売の1―3月も同様に絶好調なトレンドだ。
 当然、上流部門の原油高による恩恵や合理化などの企業努力も含まれる数字ではあるが、その中の多くの部分は仕切り体系の変更によるものではないか、という想像が働いてしまう。
 元売と系列特約店の間にある仕切価格の本質はゼロサムだ。元売側にプラスが生じれば、反対に系列がマイナスを被る、という相反する作用が働く。
 ガソリンを例にとると、需給に関係なく原油価格見合いで、元売側に価格変動リスクが少なくなり、系列はベースが高くなった部分が小売市場に転嫁できにくくなれば、その口スによるリスクを被る。ここに需給の著しい緩和、供給過剰という要素が加われば、小売市場でのロスが極大化する。
 系列外の業転に依存するPBが、超薄利多売を実現し粗利を極小化したとする。需給は超緩和でガソリンは原油並みのバーゲン価格となってしまった。仮に原油は10円、税金が10円、粗利が3円としよう。消費税別ではPBの小売は23円ガソリンとなるが、粗利10円が必要な系列は、現仕切り体系では35円となる。PB23円に対して1.5倍の系列35円が小売市場に出現する。悪魔的な発想で厳しく精査すると、元売が需給に対する責任を放棄すると、系列は生きてゆく術がなくなる。
 この体系の導入の際に、まず元売が需給に対する際細かな責任を完全に果たすことか大前提である、と我々は要求した。その責任が果たされているか、現在のゆるゆるの需給状態が短期間で収束するのか。
 原発代替を求める国策に沿って舵を切ることは正しい。それによって大きく毀損され始めているガソリン需給、そのマイナスを一身に背負っている系列SSに対しても、緊急対応が必要だ。すでに元売には系列SSの悲鳴が聞こえているだろう。
 石油の業況は、あまりにも元売の一人勝ちの度が過ぎないだろうか。60%シェアの3社で5900億円という良化は、ガソリン1L当たりでは15円以上に相当する。

提供元:全国石油商業組合連合会
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