日刊ニュース

2011.05.16 のニュース

系列大手業者間で価格競争 ―系列仕切と業転市況 価格差拡大―

 ガソリンの仕切価格と業転市況との価格差が拡大してきた。業転玉を手当てしているHCなどでは136円/Lまで値を下げており、末端市況の下落が心配されている。同じく
系列の大手業者が安値で攻勢をかけるケースも出てきた。震災後、ガソリンが減販で供給増となったことから需給バランスが崩れており、価格競争が再燃しそうである。
 東石商が11日に行なった調査によると、ガソリンの系列仕切価格(最多価格帯)は131円/Lであるのに対して、業転(SSでの購入)は125円であり、その価格差は6円となっている。実勢の業転市況は122~3円と下落しており「系列高の業転安」で価格差が拡大している。
 価格差の拡大は、仕切価格の見直しで、業転市況連動方式に加えてブランド料(販売関連費用)を加算、さらに原油価格の変動をも加味することになり、実質、仕切価格が値上
がりしたためである。この仕切価格の見直しが市況形成に効果を発揮したのと、減産による需給が功を奏したことで、元売はマージンを確保し、22年度決算は増益となった。前年の赤字決算からみると大幅な改善となった。
 最近では原油価格が急落したことから、東工取の先物市況が下落しているが、業転市況は小幅な下落にとどまり、系列仕切価格は据え置きとなっている。だが、原油価格(WT
I)が、9日には、再度、98ドル/バーレルと100ドルを割るなど乱高下しており、
今後の業転市況、仕切価格の値動きが注目されている。100ドル割れが続くのか、反発して100ドル台に乗せるのか、見通しは難しいが、このまま原油価格が下落するとガソリンの末端市況も下落することになりそうである。
 石油情報センターの週動向調査(9日)は、平均で152円20銭/Lで前週比で30銭下げ、東京は154円20銭で50銭の小幅な値下がりとなっているが、都内の街道沿いSSでは、ここにきて2~3円の値下がりとなり、147円が中心値となっている。調査価格は現金価格であり、街道沿いの看板価格との間には大幅な価格差がある。どちらも市況実態を反映しているが、安値の看板価格が増加すると調査価格も下落するため、これからが正念場となる。
 安値攻勢はHCが先行するが、系列の大手業者も144~5円で攻勢をかけており、40円割れも予想される状況である。都内では、シンエネ(EM系)、関束鉱油(昭和シェル)、中央石油(キグナス)などの大手系列業者が価格競争に参画している。一般SSはマージン15円を確保したいとしているが、大手は6~7円でも経営が可能として攻勢をかけている。大手は大量仕入れでボリュームディスカウントもあり、1SS当たりの販売数量も多いため、体質も強く有利となっている。
 大手間での価格競争がエスカレートすると、周辺の小規模SSは価格競争に負けて廃業に追い込まれる。大手間では安値SSには追随するが、それでも最安値SSに対して
は1円高とするなどの商法も出ている。一方で安値SSに対して、さらに1円安く販売するなどスーパー並みの安値商法が展開されている。
 ガソリンは販売数量が減少、供給増となっており、ここで原油価格が下落すると、末端市況の混乱が心配される状況となってきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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