2011.05.17 のニュース
SS利用促す諸情報の発信を
高速各社が発表したGWの交通状況によると、概して東京近辺が悪く、東北はボランティアの人口移動もあって二極化、中日本以西は数%プラスの傾向が見られ、全国計では3%増だった。また、全国の主要国道23地点は4%減、観光地17地点は横ばいとなった。一方、JR新幹線・特急は西日本が比較的良好ながら、北海道~関東は大幅減で、総じて前年を下回った。翻ってSS業界。本紙取材では、マスメディアが報じたほどの旺盛な出足は見られず、よってガソリン需要増につながった実感もなく、特に平場は低調との報告が目立った。ただ、洗車は黄砂などの天候影響もあって好調を伝える声が多かった。
今GWの交通事情は、大震災に伴う自粛ムードから反転、復興のための消費拡大意識が急速に高まり、機動力・応用力に優るクルマ活用に傾いたと見られる。もう1つには、高速道の休日上限1千円特別割引をやめ、無料化社会実験も凍結する復旧・復興のための補正予算が組まれたことで、高速がお得なうちに遠出しようとする機運が一気に広がったことも、クルマ有利につながった。特割は早ければ6月中旬ごろにも元に戻る可能性があるという。
この特割が導入されたのは09年3月末。リーマンショック後の地域活性化・観光振興に主眼が置かれ、多くの国民が好感した。05~08年度まで続いたガソリン減販が09~10年度と連続増に転じた原動力になったことは確かだろう。だが、需要減は構造問題であり、本来的にはガソリンが伸びる要素は見出しにくい。4月から追加実施予定だった平日特割上限2千円に新たな期待を抱くことは不可能になった。他方、重油増産に伴うガソリン供給過剰で過当競争が再発、系列・業転格差の拡大、景況不安も相まって、経営改善の道は一層険しくなりつつある。
そんな中でSSは、安売りや割引に依らず、ユーザーに対し、小旅行や近所への買い物、気ままなドライブと、なんでもいいから、便利に快適にクルマをご利用いただく努力を積み重ねることが必要ではないか。観光スポット、商業施設、イベントなどと手を組んだり、新たな情報発信の切りロを考えてみる。また、消費者ニーズを聴き出したり、掘り起こす場としてのSSに期待する外部の声も少なくない。経営に新たな支柱を打つ転機と捉え、前向きにチャレンジすることで活路を拓きたい。