日刊ニュース

2011.05.23 のニュース

エネルギー政策の再考に際し

エネルギー基本計画を白紙に戻し議論する必要がある、との考えを菅首相が会見で示した。原子力は安全性を最優先、化石燃料はCO2削減を進めると同時に、自然エネルギーと再生可能エネルギーを政策の柱に加え、その推進に大きな力を入れたいと述べた。一方、地球温暖化問題への対応として、エネルギーを大量消費する社会のあり方を問い、省エネ社会づくりにも意欲を見せている。
 17日閣議決定した日本再生に向けた政策推進指針は、今後3年程度の短期で電力制約への政策対応、災害に強いエネルギー供給体制の構築を進め、省エネ・新エネビジネスや分散型エネルギーシステムが展開されることに期待、中長期では安全・安定供給・効率・環境の要請に応える新エネなどの取り組みを強化する方向性を打ち出した。再開する新成長戦略実現会議で環境・エネルギー大国戦略の見直しに向けた検討に入り、エネルギーシステムの歪み・脆弱性を是正、短、中、長期からなる革新的エネルギー環境戦略を練るという。
 現行の基本計画は、エネルギー自給率を現行の2割から4割へと倍増、化石燃料依存6割の半分を自主開発権益下とし、2030年に自主エネルギー比率7割を目指すもので、国益という観点にも基づいている。ただ、自然エネは安定供給に不安がつきまとう。近年の大地震でも、結局は石油は頼りにされてきた。他のエネルギー不足を緊急避難的に補う位置付けでは安定感に乏しくても、しっかりと期待に応えた。だが、単純に石油依存度を引き上げようという話にもなるまい。元売首脳からも、構造的需要減の流れは変わらず、予定通り生産能力を削減していく必要性が示唆されている。
 原発停止に伴う緊急避難的な対応は、石油需給の全体バランスに影響する。大地震が起きた時の緩衝機能は高く評価されるが、問題は、サブライチェーンの一翼を担う小売業者
が経営に瀕していることだ。最終消費者まで行き渡ってこその安定供給。元売と小売では企業数が減る意味合いが大きく異なる。効率優先でカバーし切れない部分まで、業種を横断して地元の中小企業者が支え合っているからだ。SS店頭販売や配達も、子会社任せでは完遂できない。我々の存在感を、ここで、しっかりとアピールしよう。「地域社会に精通した石油“販売業者”」の重要性が基本計画に反映されるように。

提供元:全国石油商業組合連合会
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