日刊ニュース

2011.05.24 のニュース

世界の原発は436基《前年比4基増》

日本原子力産業協会がまとめた世界の原子力発電所は436基で、3億9220.3万KWで前年より4基、約300万kW分増加、中国で新たに19基が新規計画入りとなった。3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故による世界各国への影響は大きく、国際原子力機関(IAEA)やG8を中心に原子力安全の見直しが検討されている。1月1日現在、世界30力国・地域で運転中の原子力発電所は436基、3億9220万3000KW(前回調査432基、3億8915万6000KW)となり、4基、304万7000KW分の増加となった。新規に営業運転を開始したのは拡大傾向著しいインドと中国、およびロシアの合計5基。一方、フランスの高速増殖原型炉であるフェニックス炉が2010年2月1日付けで正式に閉鎖された。運開炉の内訳としてはまず、インド国産の加圧重水炉であるラジャスタン5号機が10年2月に営業運転を開始し、同6号機が3月にこれに続いた。調査対象期間後の11年1月にはカイガ4号機も国内送電網に接続された。
 中国では、フランスの技術を独自改良したCPR1000の初号機である嶺漢Ⅱ期工事1号機が9月に運開。10月には、中国初の原子炉となった秦山Iをベースに自主開発スケールアップしたCP(これまで「CNP」と呼称)600として泰山1ー3号機が営業運転入りを果たし、ロシアでロストフ(ボルゴドンスク)2号機が12月10日に営業運転入りした。
 調査対象期間後には、韓国の新古里1号機が2011年2月28日に営業運転を開始したほか、パキスタンのチャシュマ2号機が11年2月22日に初臨界を達成した。
 世界で建設中の原子炉プロジェクトは16力国の75基、7573万4000KWとなり、前回調査以降、9基、1059万6000KW分増加した。近年の傾向どおり中国、インド、口シアでの拡大が目覚ましく75基のうち四割にあたる30基が中国のプロジェクト。新たに着工あるいは建設許可が下りた14基の内訳は、中国の6基、インドの4基、ロシアの2基のほか、日本(11年3月末時点)とブラジルで1基ずつである。
 中国の6基は、中国広東核電集団有限公司(CSPC)がCPR1000となる福建省の寧徳3、4号機と広西省の防城港1号機を、また、中国核工業集団公司(CNNC)がCP600の海南省・昌江1、2号機、およびCP1000となる福建省・福清3号の建設を開始した。
 インドでは、10年1月にインド原子力発電公社(NPCIL)が初の70万KW級国産PHWRとなるカクラバー3、4号機で基礎掘削を行った後、同年11月にコンクリート打設を実施。8月には同型のラジャスタン7、8号機についても、インド中央部のサイトで基礎掘削を開始している。
 ロシアで着工したのは、同国で最新型の120万KW級PWRとなるレニングラードⅡ-2号機と100万KW級PWRのロストフ4号機で、それぞれ16年と17年の運転開始を目指している。
 実現性が高い原子炉建設プロジェクトは、世界で合計91基、9971万9000KWとなり、前回調査以降17基、2514万4000KW分増加した。新たに計画中の範躊に含めたプロジェクトは6力国の33基で、このうち19基が中国、9基がロシアである。
 中国で予備的作業の国家承認が確認できたのは、既設サイトでの増設となるほか、新規地点として内陸部の湖北省・咸寧1、2号機と江西省・彭澤1、2号機、広東省・隆豊1、2号機での計画が確定的と見られる。
 ロシアでは、モスクワのナバシノ地区、コストロマ地区、中央部トムスク地方で計画・建設されることになった。
 また、パキスタンのチャシュマ3、4号機について、中国から建設費を融資するという政府間協定が10年2月に正式発効、3号機は11年3月にコンクリート打設も始まっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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