日刊ニュース

2011.05.25 のニュース

各社 減販に備え、減産・輸出増で対応 ―定期修理、C重油の発注遅れで需給調整―

 石油製品の需給は、これから不需要期に入るためバランスが崩れ供給増となることが心配されている。その要因は、①大震災後、景気が後退して販売数量の減少が続く、②電力C重油が増産となりガソリン、中間留分が供給増となる、などの見方が出ている。
 一方、予想される供給増には、①販売減に対して各社は減産、輸出増で対応している、②これから製油所の定期修理に入る、③電力用C重油の増量の発注は遅れる、などの点から需給が大幅に崩れることはないとの見方もある。
 これから不需要期に入るため、例年販売減で供給増になるが、定期修理に入るためマクロでは需給は調整される。だが、定期修理に入る会社と定期修理をしない会社もあり、需
給の取り組みにバラツキが生じるため、これからが正念場となる。定期修理前では増産で対応して在庫を積み上げるが、それでも不足すると、市中から逆買いするか、他社からのジョイントで玉を手当てする。
 市中買いが増加すれば、業転玉が減少することになるが、それ以上に販売減となると供給増となる。そのため、当面の販売動向が注目されるが、ガソリンは、景気の後退、個人消費の減少、節約ムードから減少している。他の油種も減少傾向にあるが、どの水準に落ち着くのか見通しは難しい。例年、3月末に経産省が策定する平成23年度の石油製品の需要見通しは、様子見となり遅れている。この状況が当分の間続くと見て、元売各社は、自社の予想で需給に取り組んでいる。各社は23年度の業績見通しを発表しているが小幅な減少となっている。計画では、国内販売は減少するが、そのマイナス分を輸出でカバーすることにしている。そのため内需に対しては減産であるが、輪出増で原油処理は前年を維持する計画となっている。
 輸出は海外市況次第であり、国内市況を上回れば輸出増を狙う。東日本大震災を機に、経産省による輸出停止の要請があって中断していたが、需給が正常化したため輸出は再
開されている。今後は輪出が増加するものとみられるが、原油価格の動向、海外の製品市況と絡んでくる。海外の製品市況が高値で推移すれば輸出増のチャンスとなる。今のところ輸出は採算ペースに乗っている。しかし、海外の製品市況は、世界の石油需要、経済動向に左右されるため流動的であり、予断を許さない。
 海外の製品市況が高値であることが望ましいが、海外の市況が下落すると、国内市況が割高となり逆に輸入されることになる。
 今後の焦点となる電力C重油の供給は、夏場にかけて増加が見込まれるが、電力会社は、まずLNGで対応しており、石油はその後となる。石油火力は、大規模の広野、鹿島が大災害の影響で操業を停止している。現在、運転を停止している小規模の石油火力はこれから立ち上がるため、C重油の荷動きが実際に始まるのはまだ先となる。
 石油各社、輸出業者は、輸入によるLSC重油の手当てで準備したが、荷動きは始まっていない。一方、原油処理でC重油を増産すると、他の製品が供給増となると心配されているが、石油火力の立ち上がりで増量オーダーが出るのは、7月頃となりそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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